1970年に誕生した日本初のハンバーガーチェーン、ドムドムハンバーガー。一時は店舗数が大幅に減り、「絶滅危惧種」とまで言われたが、藤崎忍さんが社長に就任して以降、新商品が大ヒットし、業績も右肩上がりになったという。著書『39歳、初就職。』(世界文化社)より、一部を紹介する――。
ヒット商品がなかなか出ず、模索していた
さまざまなイベント参加やコラボ企画を進めながらも、店舗で発売する新メニューで大ヒットするバーガーは、なかなか生まれていませんでした。
どうしたらお客様の心を掴む訴求力のある商品を作ることができるだろう……。既存品の改良ではインパクトに欠け、他社と同じようなものを出しても太刀打ちできません。
そこで、肉ではなく魚介で、見た目も味も新しさを追求したいと考えるようになりました。
ファストフードの魚介バーガーと言えば、フィッシュバーガーやエビバーガーが定番。それらと一線を画すため、ドムドムではサバの竜田揚げを挟んだ「ドムフィッシュバーガー 鯖タツタ」や、バンズからはみ出すアジフライの「ドムフィッシュバーガー アジフライ」を開発して好評を得ましたが、大ヒットには至りませんでした。
それでも諦めずに次の魚介バーガーを検討していたところ、ある日、商品開発担当の浅田さんからまさかの提案が。
「社長、ソフトシェルクラブを挟んでみてはどうでしょうか?」
思わず笑ってしまうほど美味しかった
ソフトシェルクラブは、脱皮直後の柔らかいカニのことで、中華料理やタイ料理などで人気がある私の大好きな食材でした。ですが、ファストフードでバーガーに挟んだ前例はありません。
だからこそチャレンジする価値がある。
「やってみて! やってみたい!」と二つ返事でゴーサインを出しました。
様々な挑戦を重ねたことで、ここでもすぐにチャレンジできる状態になっていました。味のイメージもすぐに湧いて、「スウィートチリソースが合うかもよ」と一言付け加えました。
