「フルフラットシート」実際の乗り心地は……
バス車内の座席配置は3列×上下2段で、ずらりとフルフラットシートが並ぶ。フルフラットシートの空間の広さは、幅48センチ・高さ51~73センチ前後・長さは180センチ。成人男性としてはやや高身長・肥満体の筆者(身長179センチ・肩幅46センチ・腹囲94センチ)でも、足をのばしてゴロンとできるだけのスペースがある。
ホームページでは「移動式のカプセルホテル」と表現しているが、さすがにそこまでの広さはない。しかし、頭より足が低い位置にある「シートに座った状態」で十数時間を過ごすより、足の疲れがはるかにラクだ。
これが普通の高速バスのリクライニングシートだと、どうしても低い方に血がたまり、巡りが悪くなってうっ血してくる。フルフラットの「寝転ぶ」と、リクライニングシートの「座る」では、降りて第一歩を踏み出す際の足の軽さが、圧倒的に違う。
一旦乗り込めば、枕元のUSBポートにスマホを繋いで、フルフラットシートで約12時間、ひたすらゴロゴロできるのは感動ものである。高速バス座席の「カノピー」(顔をすっぽり覆うフード)よりもプライバシーが守られている感があり、道中に何回か休憩で停車したことに気づかないほど、熟睡していた人も多かったようだ。
なお筆者も、写真撮影のために要所要所で無理やり起床したものの、途中からぐっすり寝てしまい、気が付けば降車地の東京駅(バスターミナル東京八重洲)にいた。
「狭いなあ!」と愚痴をこぼす人も
気になる点を挙げるなら、まず2段シートの下段に乗る際にちょっとしたコツがいること。2段シートの下段に乗り込んだ人からは「狭いなあ!」と愚痴も漏れ聞こえた。話を聞いてみると「頭から突っ込んで乗るような、独特のコツが必要」とのこと。ただ、すぐに馴染んでいた様子で、要は「慣れ」なのだろう。
加えて、普通の高速バスのシートとの「揺れ方の違い」も気になった。普通のリクライニングシートはバスの揺れを下半身・お尻のあたりで局地的に受け止めるが、フルフラットの場合は水平であるため、背中から足にかけて、広い範囲で小刻みに揺れを感じる。
乗り込んでいる人々に聞いたところ「背中から頭の部分に備品の枕を置く」「脱いだ上着を肩のあたりに置く」といった対策をとれば、揺れは軽減されるようだ。



