票とカネを媒介に自民党に強い影響力を誇ってきた日医連は、自分たちの既得権や利益を脅かす政策決定や診療報酬改定には、多くの自民党議員を動かして、「数は力」で政府や官邸に圧力をかける。その実態は、拙著『日本医師会の正体――なぜ医療費のムダは減らないのか』(文藝春秋)に詳述した。

 ただ、これまでと違うのは、社会保障改革を「絶対条件」の1つに掲げ、日本維新の会が自民党と連立政権を組んだことだ。25年度予算案は、当時の自公政権が維新の掲げる教育無償化や社会保険料の負担軽減策で正式合意して成立させた。その後、3党は社会保障改革の協議体を設け、「病床の11万床削減」や「OTC類似薬の保険給付の見直し」などを目指すことで合意したが、政権の枠組みは大きく変わった。

維新の吉村洋文代表と高市早苗首相 ©時事通信社

OTC薬が保険から外れれば診療回数が減って収入源になる医師も

 OTC類似薬とは、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」のうち、薬局で処方箋なしに購入できる「市販薬」(OTC医薬品)と成分や効能が似ているものを指す。OTCとは薬局のカウンター越しに購入する「オーバー・ザ・カウンター」を意味する。3党合意では、26年度から医療の質を確保しながら薬ごとに保険給付の対象かどうか見直し、医療保険財政の改善を目指す。日医は「OTC類似薬の多くは医療の根幹をなす基礎的な医薬品」(松本吉郎会長)と、一貫して反対を続ける。当然、診療回数の減少による収入減を防ぐ狙いもある。

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 花粉症薬や解熱剤、胃腸薬、湿布、保湿剤などはOTC類似薬が多い。美容目的で保湿剤の処方を受ける例もある。継続治療が必要な特定の疾患を持つ患者には保険適用を続けるなどの工夫を検討した上で、OTC化を進めるべきだ。フランスのように保険適用のまま、病気の種類や医薬品の種類によって自己負担割合を変えるのも検討に値するだろう。

 診療報酬改定は個々の診察や検査、処置、調剤の値段を見直すだけでなく、医療政策と密接に関係している。医療DXでは、24年度改定で電子処方箋を発行できる体制を整えた医科・歯科・調剤薬局が「加算」を算定できるようにした。今後は電子カルテ標準化のための診療報酬による政策誘導を進めるとみられる。