日本医師会が電子カルテ導入に反対する理由とは
電子カルテは過去の診療・処方履歴がすぐに確認でき、不要な検査や薬の重複投与が防げるなど、医療費のムダを減らし、医療の質や安全と患者サービスの向上につながるため、欧米などでは普及しているものの、日本では遅れている。日医は電子カルテなどの導入に反対する一部の会員の自由な選択を優先する。
日医連の政治力は組織内議員の得票数や日医の組織率が大いに関係している。ベテラン勤務医は「日医は会員数を維持して政治力を保つために、全員の要望を受け入れる護送船団方式だ」と話す。厚労省は常に「加算」というアメで政策を誘導してきたが、加算は患者負担につながる。欧米のように電子処方箋や電子カルテを導入しなければ、報酬を「減算」するムチも検討すべきだろう。
新型コロナウイルス禍で、発熱患者の診療拒否が続発した反省から「かかりつけ医」の法制化が進められ、26年1月から「かかりつけ医機能報告制度」が本格始動することになった。すべての医療機関が都道府県にかかりつけ医機能を報告して公開する新制度は、事実上の「医師のかかりつけ医登録」であり、運用次第で患者が良質なかかりつけ医を選ぶようになる可能性を秘める。
高血圧など生活習慣病の管理もかかりつけ医の役割だ。患者の状態が安定していれば、欧米などでは治療薬の3カ月以上の長期処方やリフィル処方が標準的だが、日本では診療所を中心に頻回な診療が行われており、ここにも大きなムダがある。維新が主張する社保改革の機運が高まれば、自民党も従来のように日医の要求を呑むわけにはいかないだろう。そして、患者がより良質な医師を選択することが、改革を進めることになる。
◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2026年の論点100』に掲載されています。


