とにかく「右折」が苦手、大きい段差に直面すると……
走行にもかなりのクセがあります。本製品は走行しながら左方向に徐々にカーブしていくほか、障害物にぶつかるとそこで左方向に曲がるなど、動きがなぜか左に偏重しています。曲がる半径は毎回変化するので動きはある程度ランダムになるとはいえ、右に曲がることはほとんどありません。
そのため、例えば「コ」の字状になったレイアウトに本製品を置いて運転をスタートすると、「コ」の上の横棒部分ばかりを行ったり来たりして、右折が必要な「コ」の縦棒、および下の横棒には自分で行くことができません。数十回往復していると偶然侵入することが1~2回はあるのですが、あまりの低確率に、見ていてやきもきさせられます。
また一般的なロボット掃除機は、小さい段差を検知すると直前で停止して引き返しますが、本製品はそうしたセンサーがないため、そのまま段差に突っ込んでいって前輪が宙に浮き、前進も後退もできなくなってしまいます。
大きい段差ならばぶつかってターンするのですが、小さい段差にはまったく無力で、走行している様子がないので見に行くと、引っ掛かって車輪が空転していることもしばしばです。
もっとも本製品のパッケージをよく見ると、こうした特性のほとんどは何らかの形で説明されていることに気付かされます。「ほこり、髪の毛、ペットの抜け毛を拭き取る」とあるのは、それ以外のゴミには対応できないことを暗に示唆していますし、「障害物にあたると方向変換」というのもその通りです(方向変換の向きが極端に左に偏っているのは気になりますが)。
ゴミを吸い取る機能がないこと、自動停止機能がないことも明記されていますし、カメラを使って進行方向の障害物を確認するような機能はそもそもうたわれていません。床と壁の隅の部分からゴミを掻き出すような機能がないのも、そうした機能がアピールされていないことからも明白です。
つまり今回述べてきた問題点の多くは、「ロボット掃除機」という製品名から、過剰な期待をしてしまったのがそもそもの原因であると言えます。見た目は市販のロボット掃除機とそっくりで、製品名もそのまま「ロボット掃除機」ゆえ、同等の機能を期待してしまうわけですが、実際はそうではなく、パッケージにもそれらがきちんと先回りして明記されているというわけです。



