人手不足が叫ばれる物流の最前線を、自慢の「相棒」と共に駆けるドライバーたち。商売道具のトラックに情熱を積み込んで、彼らは今日も「日常」を届けに出発する!

 今回は「みんなのトラックフェス2025」の出展者から、日野・プロフィアで海上コンテナを運ぶ照井さんをご紹介。

愛犬のおかげで孤独とは無縁のドライバー生活を送る照井さん

◆◆◆

ADVERTISEMENT

相棒たちとどこまでも

 小さい頃から乗り物が好きで、そのなかでも断然トラック派だったんですよ。ちょうど映画の『トラック野郎』や『コンボイ』なんかを見て育った世代で、高校生の頃には「トラック関係の仕事に就こう」と決めていましたね。

 それで、最初は整備士の免許をとって、トラックのディーラーで修理の仕事に就いたんです。でもそのうち、お客さんの車を納車しながら、「あれ、これ運転している方が楽しいじゃん」と気づいてしまって。それ以来、ドライバーを30年以上続けていますね。

アルミのフロントパネルはオーストラリアの日野自動車純正品。わざわざ空輸したのだとか

 これまで乗ったトラックはどれも一通り弄ってきて、以前はデコトラにも乗っていましたが、排ガス規制の関係で降りることになって。このトラックは5年前に会社から新車で割り当てられたもので、それから400万円から500万円くらいかけて、オーストラリア系のテイストに弄っているんです。

普段はコンテナを引いて走るトレーラーヘッド(トラクター)

 改造費はもちろん自腹ですよ。自分のように雇われのドライバーで弄っている人は、大抵そうなんじゃないかな。でも会社の車ですから、何かあればいつでも元に戻せるような形にはしていますね。

 傍から見ると、仕事用の車にお金をかけるのは不思議かもしれませんが……。むしろ私としては、「自家用車よりよほど長い時間乗っているんだから、お金をかけるならこっちが先」という感覚ですね。とくに自分は50過ぎなので、引退するまでこの車に乗ることになるでしょうし。

トラックの足元を支えるアルミホイールとぶ厚いリブタイヤ

 あとこのトラックは、愛犬との生活の場にもなっているんです。15年ほど前から飼いはじめたのですが、独り身なもので家に放っておくこともできず……。それからいつも、この子らを乗せながら仕事に出ているんですよ。

 最初は1匹だけで、当時は何匹も連れている人を見ると「なんであんなに飼うんだろう」なんて不思議だったんですけどね。なんやかんやと増えていき、いつの間にかこんなことになっちゃって。もう、自分は犬の奴隷ですよ。一番多いときで8匹いましたからね。

愛犬たちにとってもキャビン内は大事な居場所のひとつ

 今は6匹を乗せて走っていますが、車が動けば大抵は寝ちゃいますし、犬を連れていてとくに困るようなこともないんですよ。この子らも「仕事中は外に出られない」とわかっていますから、積み下ろしの間も大人しく待っていますしね。

地場のトラックドライバーとして、日々埠頭でコンテナを輸送している

 トラックドライバーは孤独なイメージがあるかもしれませんが……。私の場合はむしろ、一人の時間がないのが数少ない悩みですね(笑)。

次の記事に続く 「変に女性扱いされることもなく…」24歳の“トラック女子”が明かす物流現場の“リアルと本音” 《休日は会社でトラック磨き》

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。