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サンマのひらきが去っていくシーンに感動する大人

――子どもの親御さんなど、大人からの感想はいかがですか?

岡田 たとえば『とてもおおきなサンマのひらき』っていう本で、サンマが大暴れして、みんなが大混乱になったあと、サンマがバーッと去っていくシーンがあるんです。その去っていくさまを、人々が呆然と見ているところがよかった、っていう感想を大人からもらったんですが、あれはうれしかったです。自分がこういうのん、好きやから。

 

――大人を意識して描くところもあるんですね。

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岡田 子どもだけ意識してたら、描いててもあんま面白くないなって気がしてて。

――それは、笑わせるところもそうですか?

岡田 『こんぶのぶーさん』には、昆布巻きの兄弟が漫才する場面があるんですけど、ここの漫才の掛け合いなんかは、子どもには相当難しいと思う。漫才的な掛け合いって、ちょっと理屈入るでしょう。

 

――たしかに。

岡田 だから、笑わせにいくにしても、大人のほう向いて描いてるとき、子どものほう向いて描いてるとき、両方ありますね。うどんが汁こぼしそうになりながら、全速力で走ってる絵とかは子どもを笑わしたいなあって思って描いてますよ、やっぱり。

納豆が主人公の絵本が描きたい

――ご自身のお子さんから影響を受けることはありませんか?

岡田 小さい頃はあったかもしれへんけども、もう高2と中2ですから。「お父さんので好きなのは、ペンギンのやつとライオンのやつ」って、「食べ物」シリーズについては、特に何の反応もなし(笑)。

 

――これから描いてみたいものって、どんなものでしょう。

岡田 納豆ですね。納豆が主人公の絵本が描きたい。実はブロンズ新社にアイデアは出してるんやけども、実現せえへんね。社長が乗り気じゃないのです(笑)。

――「全日本おべんとうマラソン」でも納豆が大活躍しますけど、岡田さん関西人なのに納豆に愛着があるんですね。

岡田 僕ら小さい頃は食べませんでしたけど、今は関西のほうでも納豆食べますよ。ただね、「お弁当の話になんで納豆が登場するんですか。おかずと言えるのでしょうか」って指摘が来たことがあるんです。「たしかにそうや!」って。それで、その人に慌てて返事書いたんです。「申し訳ありませんでした」って丁寧に(笑)。そしたらまた返事が来て「あらためて父や祖父に聞いてみたら、納豆をお弁当のおかずで持っていったことがあるそうです。解決しました」って。納豆、弁当のおかずに持っていく人いたんやーって、妙に感動しましたね。

#2に続く)

ふうちゃんと

写真=荻原伴彦

おかだ・よしたか/1956年、大阪府生まれ。80年、愛知県立芸術大学油画科卒業。91年、初の画集を自費出版。1998年、『大きなポケット』に発表した「あやまりたおす人々」で絵本作家デビュー。以降、『ちくわのわーさん』『うどんのうーやん』『こんぶのぶーさん』『ぼくらはうまいもんフライヤーズ』など食べ物を主人公にした作品を多数生み出し続けている。