「誰かに点数をつけられたり、成績が出る仕事じゃない」
世間では彼女に朝ドラや大河ドラマの主演を期待する声も聞かれるが、おそらく本人が目指すものはそういう次元にはないはずだ。それは、《初めてオーディションに行って同世代の魅力的な女の子が何十人もひとつの部屋にいる光景を見たときに、この仕事は一番になるとか、そういうモチベーションでやることじゃないかもと思って》、《お芝居は誰かに点数をつけられたり、成績が出る仕事じゃない(中略)。それがすごくいいなと思うんです》などと語っていたことからも裏づけられる(『ピクトアップ』2024年8月号)。
もっとも、俳優を取り巻く環境も従来とは変わりつつあるようで、河合は最近のインタビューで《俳優として育っていく道がどんどん多様化している気がして、レールがないからこそ迷いがある》とも吐露している(『GQ JAPAN』2025年10月号)。若くして完成された感を抱かせる彼女だが、それでもまだデビューから10年も経っておらず、「迷いがある」というところにまだまだのびしろを感じさせる。今後、彼女が新たな道を切り拓くことができたのなら、きっと次世代の俳優のロールモデルとなるに違いない。
デビューが映画で、すでに30作近く出演しているだけに世間的には“映画畑の人”というイメージが強いものの、河合自身は舞台への思い入れも深い。前出の舞台『私を探さないで』への出演に際しても、《もともと人に笑ってもらったり驚いてもらったりするのが楽しくて、ダンスを習い、お芝居の世界に足を踏み入れました。俳優を志したのも、みんなで一つの舞台を作り、お客さんに見てもらうことへのあこがれがあったからです。/だから今、とてもワクワクしている》と語っていた(『PHP』前掲号)。
子供のころから歌うのが好きで、「一人ミュージカル」という持ちネタがあるというだけに、遠からずミュージカル出演もありそうだが、筆者個人としては、近年、国内外の気鋭の演出家により大胆なアレンジも多いシェイクスピア劇に出演する彼女もぜひ観てみたいところだ。そんなふうに、河合優実のなおも秘められたポテンシャルに期待して、演じてほしい作品や役柄を思い描いているファンは、きっと筆者だけではないだろう。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。
次のページ 写真ページはこちら

