俳優の河合優実がきょう12月19日、25歳の誕生日を迎えた。来年(2026年)1月4日には、彼女が広く知られるきっかけとなった大ヒットドラマ『不適切にもほどがある!』がスペシャルドラマとして帰ってくる。
高校生の時に映画館で「運命的な出会い」を果たして役者の道へ。その後、数々の現場で存在感を放ってきた彼女がいま抱く、“迷い”とは?(全2回の2回目/はじめから読む)
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河合優実には、俳優デビューに際してあいついだ運命的な出来事といい、若くして伝説めいたエピソードが少なくない。今年(2025年)公開された映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を手がけた大九明子監督も、同作の編集中に改めて彼女に驚かされたことがあった。
それは、河合が劇中、かなり長いセリフもちゃんと自分の言葉として聞こえるようにしゃべっているにもかかわらず、その発語が語尾からテニヲハまでまったく脚本どおりだったことだ。大九監督は俳優に脚本を渡すと、セリフは意味さえ変わらなければ自分の言葉に変えてもいいと伝えているので、編集中にふと脚本と見比べるまで気づかなかったという(『キネマ旬報』2024年9月号)。ドラマ『不適切にもほどがある!』(2024年)の磯山晶プロデューサーは《河合さんの身体を通して出るセリフは、台本にあるものよりも深く感じるんです》と評したが(『AERA』2024年6月10日号)、それはけっして誇張ではないことがこの話から証明される。
河合優実が思う、映画作りの“最終的なゴール”
河合がすごいのは、上記のような話から示される表現力の高さばかりではない。それとあわせて注目したいのは、自分の仕事を作品のなかだけで完結させないという意識を早くから持っていたことだ。
長編映画の初主演作となった『少女は卒業しない』の公開時(2023年)、22歳のときのインタビューでは、地元の友達に会って話を聞くと、同じ業界の人たちよりいろんな感性や人生があることを感じるとして、《この仕事をしていると"映画を作るために頑張る"というところで意識が完結しがちだけれど、そうじゃないんですよね。こうやっていろんな人生を過ごしているみんなに観てもらうことが最終的なゴールなんだなって改めて気付かされます》と語っていた(『anan』2023年2月15日号)。

