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落ちるところまで落ちた元衆議院議員
8月に入り、この融資斡旋を巡って、またまた別の人物が完成したばかりの霞が関ビルディングに入る全日空本社を訪ねて来た。その月の6日付で大蔵省銀行局長に任命された青山俊である。ところが、長谷村が迎え入れたところ、それは似ても似つかぬ偽物だった。長谷村は以前、青山と会ったことがあり、その風貌が異なっていたのである。結局これにより、アラブ産油国の500億円融資話は真っ赤な噓であることが判明する。
だが、それで話は終わらない。
3週間ほど経った同月25日、こんどは「大蔵省特殊資金運用委員会委員」を名乗る人物が全日空本社に現れた。その人物、鈴木明良は、紹介者であるという大石武一、さらに原田憲と、2人の衆議院議員の名刺を持っており、それが信用の決め手となっていた。何しろ、原田は当時、運輸大臣を務めていたから、航空会社にとってその威光は絶大なものだ。この鈴木に対しては、社長の大庭が直々に対応することとなる。
その時点で大庭にはそうした認識がなかったようだが、鈴木はいわく付きの人物だった。確かに戦後、日本進歩党などから出馬し3回連続で当選を果たした元衆議院議員ではあったものの、その後は詐欺で逮捕されたり破産したりと、落ちるところまで落ちていた問題だらけの人物だったのである。
