【若尾文子出演DVD ベスト3】
妻は告白する(1961)
監督=増村保造。共演=川口浩、小沢栄太郎、馬渕晴子。
増村・若尾コンビの最高傑作と呼ばれるのは、ラストに向けてのうねるような盛り上がりが尋常ならざるものだったからだ。それにしても、三十歳を目前にした若尾の活躍は超人的だった。五九年が十一本、六〇年が九本、六一年が十一本で六二年が十本。粒ぞろいだが、この映画も凄い。法の枠や道徳の枠などを一気に乗り越える若尾の存在力が、見る者に息を呑ませる。
女は二度生まれる(1961)
監督=川島雄三。共演=山村聡、フランキー堺、山茶花究。
若尾は川島監督の映画に三本出ているが、これまた名作。冒頭の三分間で場所も時代もさらりと示すあたりは、川島の真骨頂か。若尾が演じる芸者小えんは男たちを渡り歩く。実業家、鮨屋の板前、旋盤工。最大のダイナモは若尾の肉体だ。たおやかでいながら心細げな曲線。艶っぽい笑い声と芯の強そうな泣き声。そんな肉体を通して、戦後日本の空気が描き出される。
清作の妻(1965)
監督=増村保造。共演=田村高廣、殿山泰司、成田三樹夫。
あふれる情感。捨身の怖さと快楽の深さ。一歩まちがえれば煩わしさの極みとなりそうな女を、若尾が説得力豊かに演じる。映画の始まりは日露戦争前夜。呉服屋の隠居の囲われ者だった彼女は、故郷で村八分にあうが、好青年の田村に出会う。ふたりは愛欲に溺れ、村人は白い眼を向ける。話はいよいよこじれる。田村の引いた芝居も印象的だが、若尾の覚悟が桁外れだ。
『スターは楽し 映画で会いたい80人』(電子書籍)
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