「週刊文春」で連載「野球の言葉学」を執筆し、今も取材現場に足を運ぶジャーナリストの鷲田康さん(68)。これまで精力的に執筆活動をしてきた元スポーツ紙記者が直面したのが、医師の菊山正隆先生(東京女子医大)からの「膵臓がん」に関する宣告でした。第1回に引き続き「0期治療」という考えを知るまでの体験記をお届けする。この記事の続編はこちら

脂肪置換という聞きなれない異常

 3年前の2022年だった。かかりつけ医の「あんこうメディカルクリニック」で定期的に行っている血液検査で、肝臓の値が少し悪くエコー検査をすることになった。そこで膵臓に嚢胞があることが分かり、同クリニックの安康晴博先生から「非常にマニアックに膵臓を調べてくれるところがあるので、そこに行ってください」と東京駅近くにあるAIC八重洲クリニックを紹介され、それから毎年1回、腹部のMRI検査をすることになった。

 すると翌23年の検査で脂肪置換という聞きなれない異常が見つかり、翌24年の検査ではその異常が増大しているという指摘を受けたのである。

安康先生(写真は「あんこうメディカルクリニック」より)

「脂肪置換というのは必ずがんになります。それが明日なのか、10年後なのかは分からない。でも必ずがん化します。東京女子医大に膵臓がんの0期発見ということをやっている先生がいるので、そこを紹介しますからすぐに行ってください」

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 そうして安康先生から紹介されたのが菊山先生だったのである。

脂肪置換とは一体?

 初受診から1ヶ月後の24年7月には超音波装置がついた内視鏡を入れて、胃の中から画像検査をする超音波内視鏡検査を受けた。その検査で膵臓がんそのものは確認されなかったが、膵内に嚢胞があり、膵臓そのものの組織の粗造さが目立つことが分かった。しかもMRI検査で脂肪置換の増大もあることから、高度の膵臓がん予備軍として、菊山先生からは冒頭の“宣告”を受けることとなったのである。

 それではこの聞き慣れない脂肪置換とは一体、どんなものなのか?