2018年6月、東海道新幹線で起きた無差別殺傷事件。犯人の小島一朗は、「刑務所に行きたかった」と語る。彼はその異常な願望を「子どもがサッカー選手になりたいのと同じ」と断言し、犯行の責任を警察の暴力に転嫁する独自の理論を展開した。あまりに不可解なその思考とは。

 インベカヲリ★氏の著書『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』(角川新書)の一部を抜粋し、小島との面会で語られた身勝手な犯行論理について紹介する。

新幹線車内の殺傷事件で、小島一朗容疑者宅の捜索を終え、押収物を運び出す神奈川県警の捜査員ら=13日午後、愛知県岡崎市 ©時事通信社

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「警察から袋叩きにされていなければ、今でも私は裏寝覚にいて、昆虫や草などを食べながら生きていたはずです」

 夏の猛暑が続く、2019年8月21日。1カ月以上の間を空けて再び面会に行くと、小島は少し太ったように見えた。といっても中肉中背。ハンガーストライキを起こして瘦せたときから戻っただけに過ぎない。標準体型になると、顔が丸くなり少し幼く見える。

 久々に会ったためか、小島は少し緊張感が増しているようにも見えた。ハキハキとよく喋る一方で、表情はいつも以上に硬い。

──拘置所生活はどう? 裏寝覚とどっちが居心地いい?

 拘置所は各部屋にエアコンがないため、夏は熱中症で倒れそうなほど暑いと聞く。しかし小島にとってはあまり大した問題ではないようで、あっけらかんとしていた。

「裏寝覚(編集部注:小島が野宿生活をしていた長野県木曽郡にある景勝地)よりはいいですよ。でも違い過ぎて比較できるものじゃありません。そういえば、もし『週刊新潮』以外でも書けるなら、去年の12月2日に、私が小田原警察署で警官に馬乗りになって、鼻血が出るまで殴ったことを書いてほしいです。民間人は殺せるのに、警察はやれないのかって批判に応えるために必要ですから」

 小島はまるで自分が優位に立っているかのような口調で言ってきた。そう言われても、私は彼の言う通りに記事を書くわけではない。とりあえず、イエスともノーとも言わずに会話を続けることにした。

──そんな批判は来ないと思うけど。一朗さんは、事件を起こした動機は警察にあると言いたいわけね?

「そうです。警察から袋叩きにされていなければ、今でも私は裏寝覚にいて、昆虫や草などを食べながら生きていたはずです」

──そもそもおばあちゃんと3月16日に最後の電話をするまでは、死のうとしていたわけだよね? 死のうと思っていた理由は?

「私は刑務所に入りたかったけど、刑務所に入れないなら死ぬしかないということです」

──その電話で、刑務所に入る決意をした。人を殺すことに躊躇していたときに、警察から暴行を受けたということだよね。

「そうです。刑務所に入りたいけど、人を殺すのはよくないし、ウジウジ悩んでいた。だって警察にこれだけのことされたら、『だったら、やってやろう』と思いませんか?」