若いカップルを襲った銃を持つ2人組の男。恐怖の夜から数日後、警察が逮捕したのは20歳と18歳の黒人青年だった。被害者の証言と写真指認を決め手に、下された判決は懲役75年。ところが30年後、DNA鑑定が暴いた「決定的な矛盾」とは――。
アメリカで起きた衝撃の冤罪事件、その始まりを、新刊『世界で起きた恐怖の冤罪ミステリー35』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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女性を襲った「2人のアフリカ系アメリカ人」
1979年11月23日、ドライブ中の若いカップルが米テキサス州ダラスのドルフィン・アベニューにある酒屋にタバコを買うために立ち寄った。友人男性が店に入っている間、連れ合いの26歳の女性が近くの公衆電話を使用していたところ、2人のアフリカ系アメリカ人の男が隣の公衆電話ボックスに入ってきた。
そのとき彼女が何気なく感じた不安は的中する。
電話を終え車に戻ると、いきなり運転席の友人男性に先ほど見かけた男の1人が銃を突き付けてきたのだ。もう1人の男も銃を手に後部座席に乗り込んできて、車を出すよう命令。カップルは言われるがまま州間高速道路30号線を走り、その間、犯人たちに金を強奪される。
その後まもなく、犯人たちは男性に車を停め降りるように命じた。指示に従い彼が車を停めた瞬間、女性が車から逃げ出したものの、犯人の1人に捕まり車に引き戻されてしまう。再び車は走り出し、近くの公園へ。そこで、犯人たちは男性を銃で脅しながら代わる代わる女性をレイプする。そして、警察に行けば必ず殺すと脅し、彼女の免許証とウサギの毛皮のコートを盗んでから男性の車で逃走。
恐怖とショックに震える女性は近くの道路に逃げ込み、路肩に倒れて意識を失った。そこに偶然通りかかったパトカーが彼女を発見し、警察署へ。署には、先に被害を訴え出ていた男性が待っていた。
2人の証言によれば、銃を持って近づいてきた黒人男性は口ひげを生やし、身長180センチ、体重85キロ程度で白いストッキングキャップと腰丈の白いジャケットを着用していたという。
