台湾を巡る高市早苗首相の国会答弁を契機に勃発した“日中新冷戦”。アメリカが覇権を握る世界秩序の中、日本はどう立ち回るのが正解なのか。スコット・ベッセント米財務長官を友人に持ち、ジョージ・ソロスに10億ドルも大儲けさせたという逸話を持つ伝説のコンサルタント・齋藤ジン氏が語る。

2025年、投資コンサルタントとして日本のメディアにもひっぱりだことなった齋藤氏

漁船衝突、尖閣国有化の2010年との比較

 渡航自粛、日本人アーティストの公演中止、自衛隊機へのレーダー照射……中国政府は日本に対し、矢継ぎ早に攻勢をかけています。しかし、今回の一連の中国の対応は、それなりに抑制的だと私は見ています。

齋藤氏の著書『世界秩序が変わるとき』(文春新書)

 近年、日中関係が最も緊迫したのは、2010年に尖閣諸島沖で、海上保安庁の巡視船と中国の漁船が衝突し、2年後に日本が尖閣諸島を国有化したときでした。

 中国では暴動を伴う大規模反日デモが連日行われ、事実上の民兵による武装漁船が大挙して押し寄せる等、かなり危険な状況でした。また中国政府はレアアースの対日輸出を一時停止させています。

ADVERTISEMENT

 あの当時と比較すると、今回の対応はかなり穏やかです。背景の1つは、ここ数年の中国経済の凋落だと思います。

この続きでは、齋藤氏が見る中国経済の実態、「日本はアメリカに梯子を外される?」という見方への回答、日中関係を考えるうえで重要視すべきアメリカの動きなどを詳しく解説しています。また、特集「中国に克つ“三賢人の処方箋”」には、阿古智子氏(東京大学教授)や中西輝政氏(京都大学名誉教授)も登場。三賢人の記事全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および12月25日(木)発売の「週刊文春」で読むことができます》