コールドスリープは前向きなこと

岡村 なるほどね。先生が「終活」なんて言うと、ドキッとします。Perfumeの「コールドスリープ」とつなげて考えてしまいそうになりますけれど。

MIKIKO 「コールドスリープ」は、終わるのではなく始まり。すごく前向きなことだと私は思っていて。

 30代後半の女性アーティストで、一度もケガせず、ライブも休まず、誰一人欠けることなく第一線で活躍し続けるって、ごく当たり前のように見えるけれど、彼女たちは努力を重ね、いろんな新陳代謝を繰り返しながらやってきたんです。しかも、それが苦しいことだったかというと、全然そんなことはなくて、彼女たちにとっては幸せだった。だから、人間活動に戻ります、ということではないんです。

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 でも、一人の人間としての幸せに向き合うためにお休みをするという選択肢があることを、それこそ後輩に向けても提示するのは、日本の芸能界においては、なかなか稀なケースですし、「やり遂げた」感じだなって。なぜなら3人が自分たちでつくったグループだから。誰かの手によって終了させられるのではなく、自分たちで決めてほしかった。そういう意味ですごくよかったなって。

岡村 つまり、一人の女性としての結婚・出産といったライフイベントを、コールドスリープの間に経験させてあげたいと。

 

MIKIKO そうです。それはやっぱり、Perfumeがあったからできなかったことだし、それには年齢が関係してきてしまう。ですから、当たり前だと言われていることを一回体験してみて、やっぱりPerfumeを続けたいとなればそれはそれでいいし。

 期限を決めず、心ゆくまま、いままで経験できなかったことにチャレンジしてほしい。人として、女性として、豊かな人生にしてほしいんです。

※MIKIKOさんの演出振付家としての軌跡や、ご家族の影響、コールドスリープについての思うことなどについて明かした記事全文は『週刊文春WOMAN2026創刊7周年記念号』で読むことができます。

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