AKB48卒業後のキャリア、結婚と出産を経ての今は…

 2013年の選抜総選挙は日本武道館から横浜国際総合競技場へと舞台を移し、より巨大なものとなっていた。大島は速報では指原莉乃、渡辺麻友に続く3位で、最終結果では指原に続く2位となった。

 2位に大島優子の名前が呼ばれた瞬間、予想外の1位が確定した指原は立ち上がり、口を抑えて激しく動揺する。そんな指原の様子を見た大島は「いやー、涙ひとつも出ない。この感覚、何なんでしょうね。お腹を抱えて笑ってしまう総選挙は初めてです」と笑顔でスピーチを終えた。世代交代を見た大島は、この年の年末の紅白歌合戦のステージで、翌2014年をもっての卒業を発表。そして2014年6月9日、AKB48劇場で開催された卒業公演をもってAKB48を卒業した。

 大島はAKB48活動中もずっと目標は女優だと語っていた。卒業理由としても、この夢への思いがあったと明かしている。

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「AKB48と個人の女優の仕事との両立は楽しかったんですけど、徐々に大変になりました。(中略)やっぱりAKB48をやっていることによって、歌詞を覚えなきゃいけないとか、振り付けを確認しなきゃいけないとか、いろんなことをやる中で集中できない、芝居に集中したいと思うようになりました」(産経新聞、2014年4月4日)

 卒業後の2014年に公開された映画「紙の月」では宮沢りえ演じる主人公の同僚である銀行窓口係を演じ、第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞する。その後も主演ドラマ「ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜」、主演映画「ロマンス」のほか、「東京タラレバ娘」などの話題作に出演する。

「東京タラレバ娘」

 2017年から1年間はアメリカ・ポートランドへと留学。帰国後の2019年にはNHK連続テレビ小説「スカーレット」で戸田恵梨香演じるヒロインの幼なじみ役でレギュラー出演。この時、共演した俳優の林遣都との結婚を2021年7月29日に発表する。林との間には現在まで2子が誕生している。

 女優としても、木村拓哉主演ドラマ「教場」(フジテレビ系)での生徒役や、長谷川博己主演ドラマ「アンチヒーロー」(TBS系)でのパラリーガル、小芝風花が主演した「GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜」で小芝演じる主人公を支える年上のバディ役と、エース(主役)ではないが確かな存在感を放つバイプレイヤーとなっている。

 AKB48の時とどこか重なる立ち位置が、いま大島を“ヘビーローテーション”する役者としている。

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