入れ歯が合わないだけで、要介護から寝たきりに……。医療ジャーナリストの塩田芳享氏が90歳の母親の入れ歯を直すため、かかりつけ医に相談すると、「おばあちゃんはもう歳だから、合う入れ歯は作れないんですよ」と断られてしまったという。藁にもすがる思いで塩田氏が頼ったのは「入れ歯の神様」だった。

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なぜ入れ歯が合わなくなるのか?

 これから日本は「超高齢化社会」を迎える。2025年に約800万人の「団塊の世代」が75歳以上となり、国民の5人に1人が後期高齢者となった。未曾有の超高齢化社会では解決すべき問題が山積しているが、歯科の分野で大きな未解決問題があることをご存じだろうか?

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 それは「入れ歯」である。

 3000万人以上が使っている「入れ歯」に大きな問題があるのだ。

「入れ歯の神様」として知られる加藤武彦医師が直した入れ歯

 高齢になると、それまで使っていた入れ歯が合わなくなってしまう。加齢で歯を失うと、その歯を支えていた「歯槽骨」が使われなくなるので、少しずつ痩せていき、歯茎がすり減った状態になるからだ。さらに、歯周病などの炎症や、骨粗しょう症がある場合には、この症状がより早く進むことが知られている。

 このように、歯茎がすり減った状態になると、以前は合っていた入れ歯が合わなくなってしまう。食事の最中に入れ歯が外れてしまい、噛むことができなくなるのだ。

 体はまだ充分に元気なのに、「入れ歯が合わない」だけで食事ができなくなってしまう。食べられなくなると体はどんどん衰弱し、「要介護」となり、ついには「寝たきり」になってしまう。

合わない入れ歯では噛めない(画像はイメージです) ⒸContinental/イメージマート

 この問題の解決策は、すり減った歯茎を補うため、入れ歯を厚くし、咬み合わせがうまくできる、適正な入れ歯を作ることである。

「たかが入れ歯で寝たきりに?」

 大袈裟だと思うかもしれない。医療ジャーナリストの僕でさえ、最初はそう考えていた。しかし、そんな考えを一変させる出来事が目の前で起こったのだ。