南極は、「白い砂漠」と呼ばれるほど、年間降水量が少ない土地です。昭和基地周辺も雪はそれなりに降りますが、雨が降ることはほとんどありません。従って、1年を通じて乾燥しきっています。さらに夏の期間は白夜ですので長時間の日射が加わり、寒くて晴れると一面真っ白い世界です。

そのためか、乾燥や日焼けによって皮膚や唇が荒れてあかぎれができる、火傷レベルの日焼けになる、さらに観測で長時間屋外にいると粘膜が乾くためか鼻血が出る、霜焼けなどの凍傷になる、雪目になるなど、皮膚科や眼科のカテゴリーの傷病に悩まされる隊員が多いようです。雪目とは雪眼炎ともいい、屋外や雪上でサングラスなしに長時間活動して室内に入ると何も見えなくなったり、両目の痛み、充血、眩しくて目が開けられなくなったりする症状が出ます。隊員たちは出発前の訓練や観測隊向けの打ち合わせでこれらを学び、保湿クリームやリップクリーム、目の乾燥を防ぐ目薬など、持っていくと良いものリストも配られます。

ところが、持ってきたクリームを塗っても効かない、何度も塗りかえしてすぐになくなってしまったなど、南極の乾燥具合は隊員たちの想像を超えています。その場合は医療隊員にワセリンを処方してもらったり、塗った薬剤が皮膚上でしばらく保持されるよう薄いゴム手袋をはめたりする工夫を凝らして生活しています。

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予測不能だったチョコレート人気

南極での生活において精神の安定に大事なのは、多くの隊員の楽しみである食事も同様です。しかし食材は、最も予測が難しい調達品でもあります。

確実に必要なコメ、小麦などの炭水化物、肉、魚、卵などのタンパク質、野菜などの食物繊維・ビタミン食材など基礎になる食材はおおよそ例年を参考にしながら種類や量の調達が可能です。一方、隊員の嗜好品は毎年異なり、それによって調達する品も毎年変わります。調理隊員は越冬隊員にアンケートを取り嗜好品を調査し、好みの食材を調達します。