『行け!稲中卓球部』『ドラゴンボール』が大好き

 青春ホラーとなった監督第2作『怪怪怪怪物!』、CGを駆使した第3作『赤い糸』を経て、第4作『ミス・シャンプー』(2023年)はドタバタギャグが連発する極道モノのラブコメディ。第5作『功夫』まで、1作ごとに大作と小品を行き来するスタイルは「狙い通り」という。

『ミス・シャンプー』©2026 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

「『赤い糸』はあまりにも製作が大変で、CG作業も家を建てるようでした(笑)。映画が完成したあとはすっかり疲れ切っていて、もっと気楽な映画を撮りたいと思ったのが『ミス・シャンプー』だったのです。その後はまた派手なことをしたくなり、新作は『功夫』になりました」

 スケールもジャンルもさまざまなギデンズ・コー作品だが、すべてに共通するのがアウトサイダーのキャラクターたちだ。学校生活になじめない変人たちやいじめられっ子、社会に居場所のない不良ややくざ者、そして人間からは姿さえ見えない幽霊……。

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 筆者が「アウトサイダーを描くことに関心があるのですか?」と聞くと、ギデンズは「そうですね。ただ、結局一番描きたいのは“バカ”なんですよ」と笑った。

インタビューに答えるギデンズ・コー監督

「何よりも撮っていて楽しいのは、社会のことなど気にしない、コンプライアンスもない、ひたすら素直でバカなヤツ。日本の漫画『行け!稲中卓球部』は創作の参考にするほど大好きですし、『ドラゴンボール』も世界を滅ぼすほど強力で賢いキャラクターに子どものような純粋さとバカっぽさが残っている。そこが大好きなんです」

 自身の学生時代を振り返ると、「誰よりもバカなのは僕でした」と笑う。「僕は身長が低かったので、女の子にモテるためバスケをするわけにはいかない。そのかわりギャグを言ったり、くだらないことをしたりしていたら、そのうち本物のバカになりました(笑)」。

『ミス・シャンプー』©2026 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

 当時の経験は、無意識のうちに作品に反映されているという。「僕は、ハンディキャップやコンプレックスがたくさんあるほうが良い作り手になれると思っています。だから身長が低いのは僕の強みだと思うし、たとえ賢くない人であっても、クリエイターならばそれが強みになるはず」。