ネット小説家から大作映画のヒットメーカーへ

 台湾映画界を代表する監督となったギデンズだが、「自分では今でも小説家だと思っている」という。病院の問診票では、いつも職業欄に「作家」と記入しているそうだ。では、小説家としての新作の予定は――。そう尋ねると、「ああ……」と頭を抱えてみせた。

「きっと読者は信じてくれないと思うんですが……3年後には執筆期間を2年ほど取れるかもしれません。僕が映画を撮っているのは、映画のほうが儲かるからだと勘違いされていますが、実際は逆。小説を本気で書いていた頃の印税は今よりもずっと高くて、僕の財産はほとんど小説で成したものです。だから映画を作れているんですよ」

 小説の読者は「今でも特別な存在」と話す。「僕は彼らと語り合えることを強く願っていますし、彼らへの責任を持ちたいのです。読者の皆さんが最も愛し、最も期待する作品を発表することは自分の義務。それが僕たちの絆を守ってくれると信じています」。

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『怪怪怪怪物!』©2017 Star Ritz international Entertainment

 ひとりで物語を紡いでいたネット小説家から、巨額の大作映画を手がけるヒットメーカーへ。どんどんプレッシャーは大きくなり、「もちろんコストは回収したい」というが、「成功するには面白い映画であることが不可欠」と言い切った。

「皆さんには“台湾映画を支援するため”ではなく、“この映画が大好きだから”という理由で映画を観に来てほしい。大規模な映画を撮るときこそ、このような野心が必要だと僕は考えています」

ギデンズ・コー監督

 現在の夢は、かつて執筆した小説シリーズ『獵命師傳奇(原題)』の映像化。実現すれば「僕にとっての『ゲーム・オブ・スローンズ』になる」と予告する超大作だ。「クリエイターとしての体力が十分なうちに完成させたい。皆さんにもっと認めてもらえ、サポートしていただければ、まずは第1作を映像化できると思います」。

ギデンズ・コー 1978年台湾生まれ。大学で経営学などを学ぶ一方、99年からインターネット上に様々なジャンルの小説を発表し始める。2008年からは映画監督にも進出。主な映画作品に『あの頃、君を追いかけた』『怪怪怪怪物!』『赤い糸 輪廻のひみつ』『ミス・シャンプー』などがある。

次の記事に続く 俳優としての転換期を迎えたクー・チェンドンが語った新たなチャレンジ、そして盟友ギデンズ・コー監督との関係【『あの頃、君を追いかけた』『赤い糸 輪廻のひみつ』主演クー・チェンドン単独インタビュー】