世界最大の兵器市場におけるアメリカのシェア
その一方で、レーガン政権は秘密裏にイランと取引を行っていた。レバノンで武装組織ヒズボラに拘束されていたアメリカ人人質の解放を求めてイランに武器を売却。この利益を議会の承認なしにニカラグアの反共ゲリラ「コントラ」へ援助していた大スキャンダルが世にいうイラン・コントラ事件である。
結局このアメリカの短絡的な二股政策は、フセインを増長させ、のちのち深刻な負の遺産(湾岸戦争、イラク戦争)を生み出すことになる。
イラン革命以降、中東の対立軸は、シーア派イランとスンニ派サウジアラビアが互いの勢力圏を形成する(図参照)。アメリカは「ペトロダラー体制」を確立していたサウジアラビア側につき、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)に巨額の武器を売却することで、自国の軍事産業に莫大な利益をもたらし、かつ湾岸諸国をアメリカ製兵器に依存させる仕組みを作り上げたのである。
近年のデータを見ても、中東・北アフリカ(MENA)地域は2020年から2024年の間に世界の兵器輸入の27%を占める世界最大の兵器市場であり、その供給の50%は米国が占めている。特に、カタール、サウジアラビア、エジプト、クウェートは、世界の兵器輸入国トップ10に入り、アメリカの主要顧客だ(ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)資料)。イラン革命以降、地域的カウンターウェイトとしてイスラエルの戦略的重要性も劇的に高まった。
こうして見てみると、イランという脅威はアメリカにとってある意味“ありがたい存在”とも言える。なぜなら、サウジアラビアをはじめ他の湾岸諸国がアメリカに頼らざるを得ないことで、中東における石油利権の確保と軍事的プレゼンスの発揮を可能にし、情勢の不安定さから巨額の利益を得てきたからだ。
