史上最悪の少年犯罪と呼ばれる「綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件」。事件から11年後の2000年11月、報道番組『ニュースステーション』は、集団強姦に関与し少年院送致となった元少年・Fのインタビューを放送した。

 激しい賛否を呼んだその放送の舞台裏を、元ディレクター・山﨑裕侍氏の著書『償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って』より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/最初から読む

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番組終了後も迷いはまだ残っていた

 番組終了後、いつものスタッフルームでの反省会。VTRを滅多にほめることのない久米氏が「よかった」と口にした。カメラマン、音声マン、編集マンが一丸となった仕事だった。本当に感謝しかなかった。このスタッフがいなければ作れなかったVTRだった。放送中から視聴者からの電話やメールがひっきりなしに届いた。メールは400件近くにのぼった。その大半が「なんであんな奴らのことを擁護するような放送をするのか」「放送する意義は何だ」といった批判だった。予想していたことだ。ふだんから賛否が分かれる放送は成功だと思っていたから、逆に手応えを感じた。視聴率も非常に高かった。

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 一方で複雑な思いも募った。果たしてこれでよかったのか。取材や構成、編集も含めて迷いはまだ残っていた。もっとよりよい放送にできたのではないか、と。そして何よりも遺族にきちんと向き合えず、結果的に願いと反することをしてしまった。

「遺族に取材ができなくても、連絡を取り、趣旨を説明しただけで誠実です。それすらしない取材が今まで多すぎたし、逆にお涙頂戴的な放送が多い。取材ができたとしても遺族の思いはあれで正直なところでしょう」

 社会部の経験が長い記者の感想だった。

 後藤デスクも「放送しないでほしいという言葉自体が遺族の心情をよく表してくれる」と、複雑な思いの僕を励ましてくれた。

 気になっていたことがあった。

 FとDの母親。真っ先にバッシングを受ける当事者だ。