Fに翌日の夜、電話で感想を聞くと…

 Fには翌日の夜、電話で感想を聞いた。

「だいぶ思っていたよりいい感じだった。妻も『わかりやすかったし、良い形で放送できた』と言っていた。伝えたいことが伝わった」

 さらに心配だったのはDの母親だ。息子が放送を目にして逆上してはいないだろうか。翌日の午後10時半、自宅前で仕事から帰ってきた母親に声をかけた。

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「放送は観ていないです。私の部屋にはテレビがありません。息子はその時間出かけていたようです」

 そう語るのみだった。放送内容を説明し、礼を言って別れた。

 今回の放送をX子さんはどう思ったのだろうか。現実には彼女は放送を観ることもできない。取材すること、放送すること、それは人を励ましもするが、傷つけもする。それでも問い続けることが何よりも大切なのだと改めて思う。

娘が生まれ、僕の事件に対する向き合い方は変化した

 そんな僕をずっと支えてくれたのが後藤デスクだった。

 放送前の10月下旬、取材や構成で悩み、相談に乗ってもらっていたときのことだ。

「これだけ取材できたのは、娘さんのおかげだな……」

©AFLO

 7月に長女が生まれていた。後藤デスクの言葉にハッとした。確かに長女が生まれ、僕の事件に対する向き合い方は変化した。

 自分の子どもがあのような形で命を奪われたらどうするのか。

 自分自身が加害者になってしまったとき、妻子とどう生きていくのか。

 長女が生まれる前の僕は、どちらかというと「取材したい」という自分の興味を追い求める気持ちが強かった。しかし幼い命をこの手で抱いたとき「取材しなければならない」という使命感に変わった。後藤デスクの言葉は、矢のように深く胸に突き刺さった。

 人は生かされている。それはたとえ誕生したばかりの小さな命にだって。

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