靴にも個体差がある
また、意外と知られていませんが、靴には個体差があります。同じブランドで同じサイズでも合う、合わないといったことがあります。既成靴とはいっても、つくられる工程では人の手が加わっています。もちろん大半は専用のマシーンで仕上げていくのですが、そのマシーンを操るのは人の手です。ジブリ作品のように令和の靴工場でも、飛行船や飛行機のエンジンのご機嫌をとるシーンと同様のことが起きているのです。
例えば、手間のかかる靴づくりで有名なムーンスターの久留米工場では、手作業でパーツを貼り付けてから機械で仕上げています。手作業である以上、精度には誤差があるのは致しかたありません。靴の世界はまだまだアナログなのです。
店舗で賢く買う四つのポイント
店舗で靴を買う際に、ポイントが四つあります。まず、店員が履いている靴がキレイで素敵であること。冗談のようなウソのような話ですが、靴好きの店員がいる靴屋こそ絶対的に正解です。こちらのリクエストを聞かずにお勧めを売ろうとしてくる店員、こちらの疑問点に即答できない店員、靴が汚い店員のいる店は論外です。
とくにチェーン店の場合、店員にはノルマがあり、客は不本意な靴を買わされる可能性があります。資本主義なので仕方ありませんが、実は私はかなり昔に靴の販売員の経験もあるので、過酷なノルマを体験しています。知識のないお客様もノルマの数に入れて販売するわけですから、本当に胃が痛かった。
次に、どんな靴が欲しいのか、必ずイメージしておくこと。歩くための靴なのか、雨用なのか、はたまた防災用なのか……。予算と用途を伝えればハズレの少ない定番を案内してくれるので、最低限の予習はしていったほうがお互いのためになります。
実店舗と言っても大手のチェーン店や百貨店、スポーツに特化した店もあれば、一つのブランドしかない店もあります。この靴が欲しいと決まっている場合は、ハズレは極めて少なくなるでしょう。
気晴らしに買い物がしたいという方であっても、ひとまずはおおよその予算と目的だけは決めておいてください。なんとなくセール中の靴屋に行って、安いからといって格段欲しくもない靴を買って、結果、足が痛くなって靴箱で死蔵させている経験は誰にもあると思います。服であれば、着なくなったとしても、痛むのは財布だけですが、靴はフィットしないと、足にもダメージがくるのでストレスが倍増することをお忘れなく。
そして三点目に、試し履きは3足まで。足のセンサーは敏感である一方、数多くの靴を履いてしまうと、そのたびに感度が鈍っていきます。試しているうちに最初のインプレッションもわからなくなってしまうので、3足までと覚えておいてください。