やっかいなのは、ショップ店員に5、6足持ってこられて、目の前で広げられると、申し訳ないという気持ちが出てきてしまうことです。全部いらないと堂々と断れるメンタルがあればいいのですが、結局、妥協の一足を買って後悔することになります。3足試してピンとこなかったら、日を改めましょう。衝動買いの一足が足に合わないのはこれが原因です。

 そして最後に靴屋に行く時間帯。ゴールデンタイムは14時です。足がまだ疲れていない時間で、店側のデメリットも少ないからです。

 例えば、開店直後だと、店員もエンジンがかかっていないのでボヤッとした靴選びになるケースが多く、閉店前は閉店準備に追われ、サービス残業になる可能性もあるので、イライラしている店員が多い。よって14時に、店員に目的と予算を伝え、用途に合った靴のコーナーへ行き、その日の売り上げのノルマの圧力を受けることもなく、3足の試し履きでしっくりきたものだけを買う。これが正解です。

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写真はイメージ ©AFLO

紳士服の量販店で靴を買ってはいけない

 シューフィッターの経験上、靴を買ってはいけない店もあります。それは、紳士服の量販店です。スーツのついでに売られている革靴はとくに問題です。

 リクルート活動を始める大学生など、ルールがよくわからないうちに、セットであれもこれもと買わされるパターンは本当に最悪だと思います。全部とは言いませんが、紳士服の量販店の革靴やパンプスは値段の割に質が劣悪です。

 靴屋で8000円のものが、紳士服の量販店では2万円。「スーツとセットなら30%引き」などで売られているのをよく見かけますが、量販店で腕時計を買いますか?

 私がリペアをやっていたときも、革が紙のように裂けたり、ヒールが土台ごと砕けたり、表は革でも裏が合皮で加水分解して半年でボロボロになったりなどなど、構造的に直せない革靴はたいてい紳士服の量販店のオリジナルブランドでした。

 長く付き合うはずの革靴を直せないなんて、本来あり得ません。ショップとしてはその場で見栄えがよく、セットで売れればいいので、靴はおまけ程度に考えているのでしょう。

 最近では、靴屋の大手ABCマートでもリペアのサービスを始めています。リペアのサービスをしているということは、例外はあるにせよ、直せる靴を責任を持って販売していることの証左です。実際に店頭で靴を見ていても、簡単なカカトや、伸びたゴム程度なら直せる設計の靴が並んでいます。「餅は餅屋で買え」とはよく言ったもので、革靴なら革靴屋、せめて靴屋で買ったほうが、リスクも少なくよりフィットしたものに出合えるので、くれぐれも注意してください。

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