「葬儀業界のことをまったく考えていない」突然、火葬料金が7万5000円に引き上げられ…

 共存関係にあった東京博善と葬儀業界は、火葬料金や式場利用料といった金銭的な問題だけでなく、お盆や正月の休みをどうするか、火葬場の運営体制に問題はないか、といった点に至るまで話し合いを重ねてきた。区内だけでなく各地の実態を知る葬儀業者が、利用者の「生の声」を届け、それを東京博善は参考にした。

 料金改定の際も、半年以上前から摺り合わせを始め、いつからどのぐらいのアップ幅で、どう利用者にアナウンスするかまで話し合っていたという。

 ところが2021年1月に3割アップの7万5000円への引き上げは突然だった。正確には、前年11月に「値上げ通告」はあった。値上げは10年ぶりで、燃料費や修繕費、人件費など「火葬原価の高騰」という東京博善の理由はわからないではないものの、葬儀業界は「事前に話し合いのない通告。公共インフラの自覚がなく、共存関係にある葬儀業界のことをまったく考えていない」(古手の業者)と、激しく反発した。

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写真はイメージ ©soraneko/イメージマート

慣習だった「料金改定の事前の話し合い」は一方的な通告に

 その背景にあるのは、廣済堂が実施したスクイーズアウトによる100%子会社化である。廣済堂は、2020年1月31日、《当社子会社の株式の併合に関するお知らせ》という適時開示で、東京博善を100%子会社化する目的とメリットを伝えた。またスクイーズアウトのために2019年7月以降、東京博善は法律事務所を法務アドバイザーに、会計事務所を財務アドバイザーに起用していた。

 つまり羅の傘下企業となった時点で、廣済堂は東京博善を100%子会社にして、葬儀業進出など経営を多角化し、収益性をさらに高めることを決めていたのである。

 従って慣習だった「料金改定の事前の話し合い」は一方的な通告となり、2020年4月に葬儀会社「広済堂ライフウェル」を設立した。話し合いや根回しをしていたのでは「迅速に対応できない」と判断したのだろう。前出の濱名が嘆息する。