都内23区内の火葬事業の7割超を握る会社、東京博善。親会社の廣済堂が中国人実業家・羅怡文氏グループの傘下企業となり、火葬料金の値上げが行われた。
それに対し葬儀業界は「火葬は公共性の高いインフラなのに許せない!」と反発し、マスメディアでも連日、火葬料金の値上げに関する報道が流れた。いったいなぜ、東京博善は業界の反発を受けながらも火葬料金の値上げに踏み切ったのか。
ここでは、日本の火葬と弔いの歴史に迫ったジャーナリスト・伊藤博敏氏の著書『火葬秘史: 骨になるまで』(小学館)より一部を抜粋し、火葬料金値上げの背景を紹介する。(全3回の2回目/3回目に続く)
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「式場」の倍増と効率運用で達成した増収増益
「高い火葬料金」への批判に対応するため、2024年3月期の有価証券報告書からは従来の「葬祭セグメント」を火葬場の運営事業である「葬祭公益セグメント」、斎場運営事業と葬儀業で構成される「葬祭収益セグメント」、葬儀などにまつわる金融サービスや相続相談などに対応する「資産コンサルティングセグメント」の3つに分けた。
このうち公共サービスの葬祭公益セグメントは、売上高が前年同期比0.4%減の55億3600万円で、利益は20.8%増の11億200万円だった。
収益拡大の新たな方策の2番目に指摘した「式場の効率的運用」は、大幅に式場を増やすことで効果が着実に上がっている。式場の増築に着手する前は、6斎場の式場数は35室だった。大人数を集める葬儀・告別式のために、それなりの広さの式場を確保しておく必要があった。
しかし高齢化の進展により、現役を引退した後の葬儀が増え、しかも家族葬が中心となって、コンパクトな式場が求められるようになった。わかりやすく言えばひと部屋を2つに利用する発想で増やし、2023年9月末までに式場数は36室増設し、71室となった。
この式場数は、斎場内の有効土地利用という形でさらに増やし、将来は23区内の葬儀・告別式の約3割は東京博善で賄いたいという。現状の倍である。
