「つくったのは、テレホンカードサイズの試供品です。薄くて持ち歩けるので、われわれ自身が店頭に立って、『よかったらどうぞ』『お財布に入りますよ』と言いながら、お客さんに手渡しました。みなさん、受け取ってくれましたね」
サンプル配布が売上データの代わりになった、とも富田さん。効果はじつにわかりやすく、1~2週間後には表れたという。配布から2週間くらいでお客さんが再び来店し、購入。この実績を店の人にも伝え、「また使いたくなる絆創膏」として営業し続けたという。
新発売から3年目の勝負
効果は上がった。そもそも、モノはいいのだ。良さを知ってもらえれば、購買につながると考えていたが、予想以上だった。しかも、高めの単価が店の売り上げにも貢献し、店側も目立つ棚に置いてくれるようになった。
そして発売から3年。富田さんはさらに挑戦した。
「勝負に出ました。絆創膏売り場の棚1段全部を『ケアリーヴ』で揃えませんか、という提案を、全国のドラッグストアにしてみようと。サイズは定番のS、M、Lに加えて、指先専用のTサイズの全4サイズ。枚数別でも種類があるので品数は豊富です。思い切って提案しました」
ドラッグストアの棚は幅90センチ。棚板が横に7、8枚入り、商品が陳列される。かつてニチバンの商品は下のほうに1つか2つ、置かれていた。ところが「ケアリーヴ」が売れ始め、だんだんと陳列される商品数が増えていったのだ。
それでも棚1段をすべてもらう、なんて「かつての自分たちではあり得ないことでした」と富田さんは笑う。社内でも、さすがに無理ではないかという声も上がっていた。
「でも、手元にはサンプル効果の売上データがありました。確かな裏付けですから、お店側にもシミュレーションを数字で示して提案したんです。棚1段並べれば、売り上げはこれだけ増えますから、と」
実際、“棚制覇”の効果は如実に出た。商品自体が目立つようになり、売り上げに直結した。かつて名古屋オフィスの隅で小さくなっていた薬品課は、もうお荷物ではなくなった。それどころか、この取り組みを社内の小集団活動として発表し、富田さんは優秀賞を獲得している。