富士山でもサンプルを配った
「取引先からも、テーピングなどの“細々としたもののニチバン”から、“絆創膏のニチバン”へとイメージが変わりました。ドラッグストアから季節の棚割りの企画を求められるようになったりして、営業スタイルも徐々に変わっていったんです」
10年過ごした名古屋オフィスを離れる頃には、絆創膏の売り上げは2倍以上になっていた。のちに本社に異動しても、「ケアリーヴ」の良さをさらに知ってもらうべく奮闘する。武器はここでもやはり、サンプルだった。
「ファストフード店で朝メニューを頼むとサンプルがもらえる。書店で本を買うともらえる。イベントで子どもが大好きなキャラクターに配ってもらう。富士山の5合目付近でも配りましたよ。とにかく、いろんな場所でやりましたね。おそらくこれまで数百万枚は配っていると思います」
さらに「防水タイプ」「パワー&フィット」や「超大判サイズ」といった新たなシリーズも展開。その間にパッケージのリニューアルにも挑んだ。
「パッケージは縦型の四角い箱ですが、それほど厚みはありません。だから、売り場の棚では倒れやすい。手前から順に売れていくわけですが、空きスペースができると何かの拍子で倒れてしまうんです。すると商品の“顔”が、お客さんに見えなくなってしまいます」
営業としてのそんな困りごとを開発担当者に話していたら、なんと“倒れない箱”にしてくれた。ぜひ店頭で確かめてもらいたいが、パッケージ前面の最下部の形状を工夫した。これなら倒れない。
「さらに、商品をフックにも掛けられるよう、ヘッダー部分に穴も開けました。店の方の要望から生まれた工夫です」
先を越されても“戦わない”社風
そんな矢先の2004年。業界を揺るがすヒット商品が他社から生まれる。傷を乾かさず、治りやすい環境を保つ湿潤療法、そして湿潤環境を保つ「ハイドロコロイド」素材。医療現場では常識になりつつあったこの治療法を、家庭用に落とし込んだ絆創膏が登場したのだ。「バンドエイド」から「キズパワーパッド」という湿潤療法タイプの絆創膏が発売されるやいなや、「貼るだけで、傷が治る」と瞬く間に大ヒットとなった。