と、理解と共感(労い)を示しつつ、こんなふうに、自分のニーズを満たす案を示していけば、「うーん、それはどうかな」「ああ、それならいいかも」など、何かしら反応が得られるでしょう。

それを見ながら、プランを練っていけばいいのです。

結果を「肯定」し、「ニーズ」と調整する

ちなみに、いま挙げたように「もし〜」と条件を示していくのも、先ほどご紹介した「どうして?」と聞くのも、どちらも交渉テクニックです。

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というわけで、適切な交渉を経ていれば、この家族は、誰も不満を抱くことなく、みなのニーズが満たされた楽しい休暇を過ごせたはずです。

「どうして?」あるいは「なぜ」と聞いて、その結果を「肯定」し、こちらの「ニーズ」と調整する。これが交渉の基本形です。多くの人はこれを間違えており、「こちらのニーズ」を主張し、「説得」というかたちで相手のニーズを否定することを「交渉」と呼んでいるのです。

とくに「肯定」の過程は絶対に入れてください。

さきほどの「労い」の部分がこれに該当します。人間の意思決定の大部分は「理屈」ではなく「感情」です。「頭ではわかっているけど、同意できない」とはまさにこの状態です。

だから私は交渉の際には「相手の感情」を重視しています。

「理屈のみに頼った交渉はよい結果につながらない」ことは交渉の心がまえとしてつねに意識してください。

私たち人間は「社会的動物」です。

つまり、絶えず人と触れ合い、協力しながら生活している。そういう存在である以上、探り合ったり話し合ったりして、双方にとっての「最適解」を見つけるというプロセスは、つねについて回ります。

私たちの生活は、ビジネスもプライベートも「交渉だらけ」なのです。

ポイント
疑問、肯定、調整が交渉の基本形

嵩原 安三郎(たけはら・やすさぶろう)
弁護士
大阪府中小企業青年中央会理事。一般社団法人弁護士EAP協会理事。一般社団法人終活レスキュー協会理事。一般社団法人境港観光協会監事。1970年、沖縄県生まれ。京都大学卒業後、29歳で司法試験合格。2007年にフォーゲル綜合法律事務所を立ち上げる。現在は、協力弁護士も併せて弁護士9名を擁する事務所に成長。全国の損害保険協会で「保険犯罪防止セミナー」を行ない、「交渉で不正を自白させる」方法を指導するなど、セミナー、講演を多数行なっている。また、弁護士による「退職代行」のパイオニアとして、これまで2万人以上を退職させてきた。「情報ライブ ミヤネ屋」「キャッチ!」などテレビやラジオなどのメディアでも活躍中。
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