自分の話術で押すばかりではなく、もっと相手の話を聞いて、前は知る由もなかった情報を引き出せたら……?

それができたら、最初に自分が思っていた「落としどころ」より、もっとお互いにいい条件や、より自分に有利な条件で合意できる可能性が開かれます。

こうした可能性を、言葉が巧みな人、ロジカルに話すことに長けている人は、なまじ話上手であるという自信があるばかりに見過ごしてしまう。

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「自分の思う最善」を相手に押し付けることだけが「正義」だと考える。このような彼らが必ずしも交渉上手とは限らない、と最初にいったのは、そういうわけなのです。

あるいは、「あまり話さない」ことが、交渉を有利にする切り札になるとしたら、どうでしょう。

たとえば、本書でご紹介するテクニックに「沈黙」を活用するものがあります。

これなどは「話し上手」という自信のある人には、とうてい実践できない芸当でしょう。「話し上手」は、「自分が話したい」というのが、つねに先に立ってしまうものだからです。

口下手であることは、まったくマイナスではない

みなさんのなかには、長いこと「自分は口下手だから……」と、交渉の場に自信を持って臨めなかった人も多いでしょう。

しかし、自分が話すだけが交渉ではないのですから、口下手であることは、まったくマイナスではありません。むしろ聞き手や質問する側に回り、情報を引き出すことで交渉の場をコントロールすることもできるのです。

相手の話を引き出す「聞き上手」になれるという意味では、かえって「口下手=交渉上手の資質十分」といってもいいのです。

本書でいう「交渉上手」とは、すでにわかっている情報、まだわかっていない情報、さらには相手の気持ちや立場、隠れた本音など、すべてを踏まえて満足のいく結果に導ける人のことです。

こう聞くと大変そうに思えるかもしれませんが、心配は不要です。誰でもすぐに取り入れられるテクニックをあなたにだけこっそり教えます。