イリーナ・ボルガーのインスタグラムへのポストからほぼ2カ月後となる2024年10月、ニューヨーク・タイムズはボルガーへの長編インタビュー記事を掲載した。

 ボルガーと子供たちはドゥロフがドバイに移住した後も会っていたが、2021年にドゥロフからボルガーへの精神的な虐待、当時3歳だった末子への激しい暴力が始まったと語っている。虐待を止めなければ警察に訴えるとボルガーが詰め寄ると、ドゥロフはボルガーと子供たちへの経済支援を止めた。ボルガーはドゥロフに対し、DVと養育費未払いの2件で訴訟を起こしている。

写真はイメージ ©AFLO

100人以上の子供に「等しく財産を分配する」と…

 Le Pointのインタビューでドゥロフは訴訟には触れず、しかし「最近、遺言書を書いた」と述べている。子供たちの自立心を育むために30年間は自分の財産にアクセスさせないが、最終的には6人の子供、精子提供による100人以上の子供の全員に等しく財産を分配するとしている。

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「自然に妊娠した子もいれば、精子提供によって生まれた子もいる。彼らは皆私の子供であり、皆同じ権利を持っている!」

 ボルガーとの3人の子供には養育費を出さず、しかし30年後に他の100人以上の子供と同額の遺産を分与するのだろうか。

 ドゥロフは2010年に精子提供を始め、15年間続けたが、逮捕後は行えていない。しかし、あるIVFクリニックはドゥロフの凍結した精子を現在も保管しており、クリニックのウエブサイトには以下のように書かれている。

「当クリニックでは、現代で最も有名で成功を収めた起業家の一人、パヴェル・ドゥロフ氏の精子を用いた体外受精を無料で受けることができます。この機会は他に類を見ないものであり、枠には限りがあります」

「出生促進主義者」であるイーロン・マスク

 ドゥロフの「12カ国に100人以上の子供」に強く反応したのが、IT/SNSの世界的リーダーとしてドゥロフと比較されることの多いイーロン・マスクだ。

自身の子供を抱きかかえるマスク。少なくとも4人の女性との間に14人の子どもを設けている ©時事通信社

 あるX(旧ツイッター)ユーザーがドゥロフのテレグラムへのポストのスクリーンショットにドゥロフの半裸写真を添えてポストしたところ、マスクは「ルーキーの数だ、笑える~チンギス・ハン」と、モンゴルの征服者、チンギス・ハンのコメントの体裁でドゥロフを皮肉った。チンギス・ハンは広大な土地を征服し、各地で多くの女性を妊娠、出産させたとされている。

 実のところ、マスクはかねてより「出生率が急落し続ければ、人類の文明は終焉を迎えるだろう」といった発言を繰り返している出生促進主義者(Pronatalist)だ。