国による差はあるものの、近年の全般的な出生率の低下を伝統的なキリスト教徒は信仰に基づいて憂えてきた。アメリカにおけるその代表格は米国副大統領のJDヴァンスだろう。ヴァンスの妻ウシャー・ヴァンスは1月20日、副大統領の正式な紋章付きの声明文として、4人目の子を妊娠しており、それは男児であり、7月末に生まれるとSNSで公表した。

根底にある白人の優生思想

 今、そうした「トラッド(伝統派)」と呼ばれる出生促進派とは別に、「テクノ・ピューリタン(IT清教徒)」と呼ばれる新たな出生促進主義者のグループが現れている。高学歴、高収入なIT業界人であり、「人口の減少は文明の消滅を招く」「多くの子供を産み育てよう」と主張する人々だ。

 テクノ・ピューリタンの主張にはトリックがある。彼らの根底にあるのは白人の優生思想であり、実際には「人口の減少」ではなく「白人人口の減少」、「文明」ではなく「西洋文明」の消滅を警戒している。

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 マスクはそのグループに共鳴しており、「ナタル・コン(出生促進主義カンファレンス)」の主催者ケヴィン・ドーランの演説動画をXでリポストもしている。

4人の女性との間に14人の子どもを持つ

 マスク自身はドゥロフのような精子提供は行っていないが、少なくとも4人の女性との間に、少なくとも14人の子供をもうけている(1人は乳幼児突然死症候群により死亡)。マスクはIVF推進者であり、より多くの子を産むためにパートナーに代理出産を促すこともしている。なお、4人のパートナーのうち3人は白人、1人は白人とインド系ミックスのカナダ人。

2018年、メットガラで。マスクとの間に3人の子を儲けたカナダ出身シンガーのグライムスは現在35歳。2人は破局と復縁を繰り返している ©AFP=時事

 可能な限り多くの子を持とうとしているマスクだが、トランプ大統領の元でDOGE(政府効率化省)を率いていた昨年、USAID(国際開発庁)を廃止した。USAIDは世界中の多くの国に人道支援、医療支援などをほどこし、過去20年間で9200万人の命を救ったと推定されている。そこから単純計算すると、昨年の廃止からの1年間で地球上の460万人の命が失われたことになる。

 USAIDの支援国は戦火にあるウクライナを除き、そのほとんどが非白人の国であったことは言うまでもない。(つづく)

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