かつては“選ばれた者の社交場”だったハプニングバー。だがメディア露出と大手資本の参入、相次ぐ摘発を境に「出会い目的の場」へと変質した。創設者と老舗経営者の証言から、理想が崩れた転換点と業界の現在地をたどる。
ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の新刊『ルポ 風俗の誕生』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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日の目を浴びてしまったハプニングバー
ハプニングバーのルーツは偶然の産物。ハプニングをもとに川口が命名した。ピュアティの独創性を知ったAVメーカーが、それからしばらくしてハプニングバーの実態を描いたDVDの共同制作を川口に打診する。
しかしハプニングバーでは、性行為が日常的に行われていた。そのため目立つことはあまり得策ではない。何度か断ったあとにDVDがリリースされるまで、川口とAVメーカーの間でこんな密約が交わされたという。
「表向きはあくまでカップル喫茶で、ハプニングバーの単語は伏せるという口約束があった。でもAVメーカーは、それを破ってハプニングバーとして出しちゃったんです」
ハプニングバーという単語が流布した背景である。
寝首を掻かれた川口に当時の思いを聞いた。
やはり、いままでまあアンダーグラウンドでやっていたものがメジャーになっちゃった。「それでちょっと、おかしくなっちゃったんですよ」と振り返った。
まさに川口が危惧していたとおり、そこからフェーズが変わる。
