国際ジャーナリストで、ラジオパーソナリティーとしても知られるモーリー・ロバートソンさんが、1月29日に食道がんのため死去した。63歳だった。各界の著名人に「代表的日本人」を訊ねた月刊文藝春秋の特集で、モーリーさんはザ・スターリンの遠藤ミチロウを挙げていた。その一部を紹介します。
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遠藤ミチロウの過激な言動
真っ先に思い浮かぶのが、「ザ・スターリン」というパンクバンドのボーカル、遠藤ミチロウさんです。
1980年に結成され、「天プラ」「ロマンチスト」などの代表曲がありますが、ステージ上から客席に向けて放尿したり、豚の臓物を投げ付ける。あるいは、アンダーグラウンドで出回る美女の解剖動画をモニターで流すなど、あまりに過激なパフォーマンスをしたことでも有名です。
ただ、ミチロウさんの音楽性に惹かれた著名人は多く、作家の町田康さんや高橋源一郎さんらと交流を持ち、思想家の吉本隆明さんも、「刺激を受けた」と本に書いています。
ロックバンド筋肉少女帯の大槻ケンヂや、伝説の音楽番組「イカ天」(「三宅裕司のいかすバンド天国」)で脚光を浴びた歌手の池田貴族など、ミュージシャンたちは軒並み、ザ・スターリンの影響を潜って来ています。
かく言う私も、東大に入学するために上京した際、ザ・スターリンを見て、絶大な影響を受けました。
当時のミチロウさんは、パンクで天下を獲ろうと、織田信長のように音楽業界に躍り出て、「なにが昭和歌謡だ! なにがニューミュージックだ! サザンなんかぶっ潰せ!」との意気込みで、異常なエネルギーを発散していた。さらに、学生運動の時代に染まった強烈な反権力の思想と、天皇制への嫌悪感を歌詞に込めて歌っていた。
その後すぐに、私はハーバード大入学のために渡米するのですが、スターリンを見て感じた「何だこれは!」という強烈な衝撃は、アメリカにいる間もずっと続いていました。
実はミチロウさんとは、2年ほど個人的に濃密な交流をした時期があります。私は20代後半、彼は40代でした。「アメリカの先住民と日本人はお尻に蒙古斑があるから、先祖は同族だと思う」と、なかばオカルトじみたミチロウさんの思い付きを聞いて、2人でそれを確かめに一緒にアリゾナ州のホピ族の居住地を訪ねたこともありました。
他にも試作品のデモテープを聞かせてもらったり、山形大学時代に学生運動で逮捕され、ニュースに自分の本名「遠藤道郎」が映って親が悲しんだ話や、父がガダルカナル島の戦いの生き残りで、いつも負い目を感じてきた話も聞きました。

