「勝ちにいかなければ勝てない」

上村 五輪って絶対的な緊張があるんです。何が起こるかわからない。「4年に1回しかチャンスがない」とか「うまくいかなかったら負けてしまう」という不安に打ち勝つには、気持ちを強く持っていかなければなりません。

 堀島選手は、W杯や世界選手権で、無理に飛ばなくても勝てる状況でもダブルフルとコーク1440をあえて取り入れるなど、プレッシャーを自分にかけ続けて試合に臨んでいました。それで高得点をとって優勝しています。北京で銅メダルを獲った実績もありますし、「勝ちにいかなければ勝てない」ということを理解している。なので、メンタルも大きく成長していると思いますね。

 

特技の「将棋」が活かされている?

――堀島選手は戦略家でもあるんですね。

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上村 彼は一試合一試合自分の滑りを分析し、ミスをひとつずつ潰している印象です。実際に話していても感じるんですが、かなり客観的に状況を見ていて冷静。頭がいいんですよね。小さい頃から将棋をやっていたことも関係しているのでは、と思っています。

――将棋が得意?
 
上村 子供の頃から大人に負けなかったらしいです。ミスという穴をひとつずつ潰していくのが得意なんですね。それと、雪質やコブなどの形状を瞬時に的確に判断する能力は、将棋で養ったものじゃないかなと勝手に思っていて(笑)。将棋脳が、勝つための戦略やミスの少ないパフォーマンスを生み出しているのかなと見ています。

――西沢岳人選手、藤木豪心選手、島川拓也選手についてはどうですか?
 
上村 3人は五輪初出場ですが、世界大会でも実力は光っています。ミスなくアグレッシブに攻めれば、全員決勝戦に残れるんじゃないかと期待しています。

 日本人選手は技術の精度が高くて、評価が高い。西沢選手は堀島選手のようなターン技術で魅せてくれますし、藤木選手や島川選手は、平昌五輪で銅メダルを獲った原大智選手に近いパワフルな滑りが印象的。今大会ではデュアルモーグルもありますからね。それぞれメダルの可能性も十分あります!

――3人とも社会人選手ですよね。
 
上村 そうなんです。自分の仕事をしつつ競技を続けるのは大変なことだと思います。たとえば藤木選手はテレビ局のディレクターで、阪神などのスポーツ中継を担当しているそうですが、社会人として働きながらナショナルチームに在籍し続けることでもすごいのに、五輪代表まで掴み取ったのは本当に素晴らしいと思います。

 それぞれの周りの方も、いい意味で驚き、喜び、彼らの大舞台での活躍を心から応援されているだろうなと思います。