退院から1ヶ月で『おかあさんといっしょ』65周年特番に出演
――退院から1ヶ月で、NHK『おかあさんといっしょ』の65周年特番に出演。オファーを受けつつも、迷いや不安があったのではないかと。
佐藤 どちらかというと、こんな大変な病気で入院している人間に、よくオファーできるなと思いました(笑)。でも、あちらから「どうする?」と聞かれた時に、「出たい」という強い気持ちが自分の中にあったんです。
病院には一時退院の制度がなかったので、「もし出たいなら退院するしかない」と言われて。それもあって、退院を決めました。
――番組の収録現場は、どんな雰囲気でしたか?
佐藤 みんな喜んでくれて。歌のおねえさんたちも、スタッフさんも、みんな号泣していました。
リハーサルには参加できなかったので、僕がどんな状態なのか誰も分からなかったんですよ。だから、僕が自分の足でゆっくり歩きながらスタジオに入ってきたのを見て、全員が驚いていました。てっきり車椅子で来ると思われていたみたいで。
退院して最初に太田プロダクションの事務所に行った時も、社員のみなさんがスタンディングオベーションで迎えてくれました。
感覚がなくて水風呂の冷たさもわからない
――退院されてから1年半以上経ちますが、現時点で一番の不便となると何でしょうか。
佐藤 やっぱりトイレですね。シモのことが一番大変です。
――感覚がないと、便座に座るのも大変そうですよね。
佐藤 便座もそうですけど、椅子に座っていても、その椅子がどこにあるのか分からないんです。神経がないので。シャワーを上からかけても、腰から下は当たっている感じがしない。誰かに触られても分かりません。ズボンの布が擦れている感覚もないです。
さらに股関節から下は、ずっと痺れているんですよ。正座した後のビリビリした状態が24時間続いている感じ。だから、ふわふわした中を歩いているような感覚ですね。
歩いているうちに、知らない間に足の指が曲がってしまっていて。靴下を脱いだら爪がはがれて血が出ていたなんてこともあります。
――温度も分からないわけですか。
佐藤 はい。お風呂は手で温度を確認してからじゃないと入れません。熱さも冷たさも分からない。以前、ホテルでサウナに入って水風呂に入ったら、全然冷たくなかったんです。でも、上半身をつけたらものすごく冷たくて。ちょっと危険だということで、それ以来サウナは禁止されています。
写真=末永裕樹/文藝春秋
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