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「日本の外国人嫌悪」が民泊事業をダメにした

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2018/08/25
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▼〈夜明け前に終わった「日本の民泊産業」の末路〉7月17日、東洋経済オンライン(筆者=レジス・アルノー特派員)

 訪日外国人旅行客数が、年間3000万人に達する勢いの日本。ところが、今年6月15日に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)によって外国人客が東京を中心に大混乱をきたしている。海外在住の私も、7月の東京滞在では、巻き添えを食らった。

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 民泊仲介最大手として知られる米国の「エアビーアンドビー(以下、エアビー)」。私も、海外取材になると頻繁に利用し、東京出張の際には、民泊特区・大田区のエアビーを毎回、利用してきた。しかし、今回の民泊新法で、民泊部屋が約6万から約2万に激減し、宿泊問題が露呈。突如、空室が見つからない状況に、私も巻き込まれたのだ。そこで、民泊新法にまつわる記事を読み漁り、面白い視点で書かれていたのが、レジス・アルノー記者の「夜明け前に終わった『日本の民泊産業』の末路」だった。

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 外国人のほうが、滞在国の文化や伝統に詳しいことがよくある。日本在住歴20年以上のアルノー記者がまさにそうだ。文中で、日本の体制を強く批判するが、その中立的な物言いは尊重に値する。

「48万5000軒の民泊登録があるフランスのように、日本でもエアビーと観光庁がタッグを組めば、最強のコンビになっただろう。(中略)だが結局、圧力団体や自治体の影響力、エアビーの傲慢さ、日本の外国人嫌悪(としか言いようがない)によってこのコンビは破局に追い込まれてしまった」

 日本の長所を知りながらも、島国大国の弱点を見事に突いている。両文化を知る者だからこそ、正確に判断できる能力の表れといえる。