妻はなぜ死んだ?

 クリスティに案内され、彼の自宅寝室に足を運ぶと、確かに妻がベッドで冷たくなっている。よく見れば、口や鼻、性器から出血していた。クリスティが言うには、ベリルは手術の最中に敗血症を起こし死亡したのだという。そして、こう続けた。

「君が僕に堕胎を依頼したんだ。警察に行けば2人とも過失致死罪で問題になる。その危険があることは君も事前に知っていて止めなかったのだから、ある種の共犯者なんだ。君は日常的に夫婦喧嘩をしており、疑われるに十分だ。この遺体は私が処理するから決して誰にも言ってはいけない。わかるね?」

 エヴァンスが遺体をどこに処理するのかと聞くと、排水溝に遺棄する予定だとクリスティ。そして、娘のジェラルディンは自分が預かるから、すぐにここを出た方が良いとの助言に従い、エヴァンスは6日後の14日、ウェールズの親戚宅に向かう。IQの低い彼はこの時点で、クリスティの言葉を鵜呑みにしていた。

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 その後、娘ジェラルディンのことが気にかかり、いったんアパートに戻ったものの、クリスティは知り合いの夫婦に面倒をみてもらっているから心配は無用と返答。エヴァンスは再びウェールズに戻ったが、日が経つにつれ、妻の死を隠しておくことに耐えられなくなったのだろう。11月30日、地元ウェールズの警察署に出頭し、妻ベリルが異常な状態で亡くなったことを告げる。

 エヴァンスが言うには、胎児を中絶するため相談していた知人男性から液体の入った瓶を受け取り、それを妻に飲ませたところ、突然苦しみ出し死亡してしまったのだという。いったん彼の身柄は勾留されることになり、警察がアパートに急行する。が、どこを探してもベリルの遺体は見つからない。対して、エヴァンスは遺体は排水溝に捨て、娘を知人男性に預けた後、自分はウェールズに戻っていたと供述。違法な堕胎手術を請け負ったクリスティに迷惑をかけまいと、彼の名は口にしなかった。