「ドォォォオン!!」あまりにもリアルすぎる追突事故シミュレーションに驚愕

 イレギュラー対応では、「後方からの追突事故の発生」のシミュレーションが行われた。審査委員長をつとめた柳原昭仁取締役・運輸本部長によると「自分がレスキューで現場に走ったこともある実際のバス事故をもとに、シミュレーションを制作した」とのこと。

 高速バスの客席・運転席がそのまま設置されたシミュレーションのセットは、本物のバスさながら。後方から急ブレーキ音が聞こえた直後、爆発音のような「ドォォォオン!!」という音とともに車体が大きく揺れ、セットの一部が損壊する仕掛けまで施されている。

追突事故発生の瞬間、ガラスが割れるような衝撃音が鳴り響いて、会場では驚きの声が上がった。コンテストのためとはいえ、セットを準備する方も芸が細かい!(筆者撮影)

 追突事故が発生した後の車内は、絵に描いたようなクライシス状態。追突の直後から警報アラートが鳴り響く中、車内の乗客役からは「煙が上がっている!」「怖い、爆発する!」と悲鳴が上がり、すみやかにレスキュー隊に引き渡す必要がある怪我人もいた。

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 ファイナリストの中には、このシミュレーションに驚いて頭が真っ白になったという方も。審査員として目を光らせる、WILLERの協力会社も含めて約30社の「バス業界のプロ」たちの圧もなかなかだ。老舗バス会社の方も多く、事あるごとに「ギロッ」と睨み付けられるプレッシャーたるや!

「事故全容の把握」「乗客誘導」「会社やレスキュー隊への連携」など、ありとあらゆるタスクを処理しなくてはいけないのだが、3人とも終了後に「思い通りに対応できなかった!」と一様にうなだれていた。

 とはいえさすがはプロ、3人とも素晴らしい対応をしていた。

 東京営業所・山本巧さんは、事故発生後にいち早く「まず安全確認をして参ります。お待ちください」と乗客に説明して落ち着かせた上で、会社の運行管理者(しかも「不慣れ」という設定!)に対して、迅速に状況を伝達。初動での基本的な行動のあいだにも、次の段階で必要な「レスキュー隊との連携」に向けた状況説明や、免許証・車検証提示などの準備ができていたように見えた。

誘導灯を使って速やかに乗客を車外避難させた山本さん(筆者撮影)

 衝突の衝撃で開かなくなった前扉ではなく、後部の非常口からバス車外への避難を決断する局面では、大阪営業所・要さんの対応が光った。

 乗客に高速道路上を歩いて避難してもらう必要があるが、要さんは、先に車外に出て発煙筒で避難経路を作り、走り抜けるクルマと乗客が接触しないように、誘導灯を振りながら無事に車外に避難させていた。