大量出血“チン事件”

 人が多ければトラブルも発生するもの。最近の性産業ではスマホによる盗撮が多いというが、守谷さんが特に印象に残っているトラブルはなんだろうか。昔の話になるという前置きで、こんな話を聞かせてくれた。

岐阜金津 花魁道中(夜の金津遊郭)/岐阜市歴史博物館所蔵

 お客様が女の子と浴場に向かって移動している時、エレベーターの中で興奮して自身のファスナーを下ろしてしまった。既に雰囲気作りは始まっているので、それ自体はそこまでは珍しいことではない。

 しかしその時、ファスナーにお客様の大切な部分が、思いっきり食い込んでしまった。エレベーター内で大量出血し、オーナーの守谷さんのもとにもすぐに連絡がきたそうだ。それでも大騒動になってはいないということは、現場を収めた従業員さんも含め、プロの対応でどうにか事なきを得たのだろう。

ADVERTISEMENT

 ソープランドなどの店舗型風俗店の規制は強化されてゆく一方で、現状では新規出店が実質的に不可能な状況だ。売春防止法による摘発もあり、店舗数は減少の一途をたどっている。独自に調べた限りでは、加納水野町に金津遊郭が移転開業した当初は72軒ものお店があったが、今現在営業しているのは39軒と、半分ほどになってしまった。

解体工事が行われていた場所も

 元号が平成から令和に変わった頃、オーナーは決断を下し、ソープランドの実質的な経営から身を引いた。といっても、現在の厳しい制度下でソープランドを他人に譲って営業を続けることは非常に困難であり、世襲でさえ認められていない。一方、同じ法人であれば存続できる。そのため、経営権付賃貸借契約を結ぶことで店を人に貸している状況だという。そのため、この記事では守谷さんの肩書をオーナーと表現した。

使われていない建物も見受けられる

 金津園全体で見ても、経営者が高齢化し跡継ぎもおらず、経営権付賃貸借契約を結ぶケースが多くなってきているのだとか。

 店子となった人が、法人ごと買い上げる例もあるそうだが、そう簡単にいかない現実もある。土地・建物・法人それぞれの所有者が異なるケースもあり、話がまとまらなければ廃業するしかない。そして、ひとたび廃業すれば、二度と営業することはできない。