「変な商売ですよ。そう思ってますが、理不尽なことだらけ」
減りゆくソープランドとは対照的に、急速に勢力を拡大してきたのが、店舗を持たないデリバリーヘルスだ。平成11年の風営法改正により、無店舗派遣型の性風俗店、いわゆるデリヘルが解禁された。デリヘルが台頭してきたのは、単に法的な問題だけではなかった。ソープランドで働く女性は、店舗でお客様を迎え入れる用意を整え、事が終わると自分で片付けて次の準備をしなければならない。しかし、デリヘルはホテル等を借りるだけなので、そんなことをする必要がない。働く女性にとって、デリヘルのほうが圧倒的に楽なのだ。
また、客である男性としても、ソープランドは店舗に出入りするところを目撃されて身元がバレてしまうリスクがある。デリヘルの方がバレにくく、敷居が低いという。
聞いて納得の理由ではあるが、楽なほうがサービスの質が低下し、衛生対策が疎かになるのは必定だろう。どちらを選ぶかは利用者の選択……と言いたいところだが、選択肢が失われつつあるのが現状だ。
ソープランドは当然ながら法令によって厳しく規制されている。それだけに、金津園としても警察とは微妙な距離感を保ちつつ、常に連携して商売を続けてきた。しかし、岐阜で大きなイベントが開催されたり、道路を拡幅するといったタイミングで摘発が行われることもあった。
「変な商売ですよ。そう思ってますが、理不尽なことだらけ。物事は全て上から決まりますから」
親子三代にわたり金津で商いを続けてきたオーナーの言葉には、実感がこもっていた。
遊郭として生まれ、したたかに戦後を生き抜き、ソープランドとしてすぼみつつある一つの文化。常に多くの人の喜怒哀楽とともにあり、時代に翻弄されてきた側面もある。この行き着く先に何があるのか。今後も金津園の行方を見守っていきたい。




