千葉県・習志野演習場で毎年1月に開催される「降下訓練始め」。精鋭の第1空挺団員たちによる新年恒例の舞台で、今年、報道陣の視線を釘付けにしていた「4本足の最新鋭ロボット」とは。報道カメラマン・宮嶋茂樹氏による取材記をお届けする。(全3回の1回目/続きを読む

令和8年の降下訓練始めに密着した 撮影=宮嶋茂樹

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夜明け前から吹き荒れた強風

 いやあ、新年早々総選挙かいな……。しかも公示日に北朝鮮が懲りずに弾道ミサイル発射。そんな不安を吹っ飛ばすように、今年も習志野の「第1空挺団、空挺降下始め」に駆けつけた。

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 政治状況とは無縁。空挺団の猛者たちの元気いっぱいな勇姿を見て、今年1年の我が国の平和を確信したいものである。

 しかし、そんな我々の期待に水を差したのは、夜が明ける前から吹きあれた強風であった。

 一般客が入場してしばらくして、目玉の空挺降下(ヘリや輸送機からパラシュートでの人員、機材の降下)の中止と、訓練展示のプログラムの一部変更、短縮が場内放送から告げられた。

 

 昨年まで、習志野の降下訓練始めといえば「空の神兵」の場内放送であった。1942年2月14日、米英との開戦直後に行われたパレンバン奇襲作戦の成功を祝して作詞作曲され、戦後も鶴田浩二らの歌で大ヒット。今は第1空挺団のテーマソングでもある。

 だが、そのテーマソングが今年は流れることがなく、実に淋しい限り。案内してくださった空挺団広報班員も「昨日の予行はみごとな晴天で、指揮官降下も全員実施できましたのに……」と実に残念そうであった。

空挺降下のない「降下始め」に

 千葉県八千代市と船橋市にまたがるここ陸上自衛隊習志野演習場は、沖縄県の普天間飛行場より住宅密集地に隣接している。

 しかも幅が500メートルしかない。風速5メートル以上になれば、降下の途中に演習場外に流されてしまう恐れがある。実際、数年前には演習場に隣接する民家の屋根に誤降下してしまったことがあった。

 この日は、不肖・宮嶋の体感では「瞬間風速15メートルはあるんちゃうか」という大暴風。昨年公開された無人機、つまりドローンの展示飛行も公開されなかった。演習場内の砂が舞い上がり、目も開けられぬくらいなのである。

 それでもヘリボーン作戦(ヘリによる空中機動輸送により人員、機材を積み下ろしする)や、ラペリングとファストロープ(いずれもホバリングするヘリからロープを伝って素早く降下する)は一部短縮するものの行われるということになった。

 そんな「空挺降下」のない「降下始め」という、ちょっと残念感のあるイベントだったが、にもかかわらず訓練開始前から会場は歓声に包まれることになった。