千葉県・習志野演習場で毎年1月に開催される「降下訓練始め」。だが、今年は強風に見舞われ、異例といえる「空挺降下なしの降下始め」となった。

 その数日後、宮城県・王城寺原(おうじょうじはら)演習場には、実戦経験豊富な米英の精鋭部隊が集結。異様な緊張感が漂うなか、空挺降下訓練が行われた。報道カメラマンの宮嶋茂樹氏が日米英共同訓練の現場で見届けた「本当の抑止力」とは——。(全3回の2回目/続きを読む

日米英共同の空挺降下訓練に密着した 撮影=宮嶋茂樹

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日米英の多国間降下訓練

 王城寺原演習場に舞い降りたのは、習志野演習場の「降下始め」では強風のため降下が叶わなかった、陸上自衛隊第1空挺団127名。そして、アラスカからやってきた米陸軍第11空挺師団140名である。

 さらに実動部隊として参加したのは、英陸軍第16空中強襲旅団戦闘団、米第3海兵機動展開部隊、陸上自衛隊第1ヘリ団、米空軍、航空自衛隊航空支援集団総勢約620名であった。

 これは史上初となる、陸上自衛隊が主催する空挺作戦に関わる日米英の多国間降下訓練であり、まさに実戦を想定したものである。まあそもそも実戦を想定しない軍事訓練などないのだが……。

 

 さらにオブザーバーとして参加した各国軍は、独仏伊加、スペイン、ポーランド、トルコ、マレーシア、インドネシア、シンガポールの10カ国である。

 それにしても冷える。ただでさえ今年の冬は寒いが、ここは東北、宮城県の山中である。天気予報では晴れ……のはずが、午後になるや降り出したのはカメラマンのまさに天敵、(みぞれ)であった。

 とはいえ、空挺降下に影響を与えるのは雨や雪より風である。この日の風速は3メートル。ジャンプするには……まあ大丈夫だが、それでも何が起こるかわからないのが空挺降下である。

雲の切れ間から姿を現わした編隊

 降り注ぐ霙の間を縫うように雲の切れ間から姿を現わした編隊は、航空自衛隊の大型輸送機C-2、それに続くは同じく空自のC-130H輸送機、通称「ハーキュリーズ」2機である。さらに遅れて現れたのは横田基地からやってきた米空軍C-130J輸送機、通称「スーパー・ハーキュリーズ」であった。

 

 今回我ら陸自第1空挺団とともに降下する米軍といえば、つい先月、中南米の反米国家のひとつ、ベネズエラの首都カラカスを急襲。さらに陸軍隷下の特殊部隊「デルタ・フォース」が当時の国家元首でもあるマドゥロ大統領とその妻を拉致、洋上の強襲揚陸艦「イオウジマ」に収容後、米本土まで護送してきたのである。そのうえトランプ政権は米本土でアメリカ司法により、夫妻を裁判にかけている。そのベネズエラでの作戦に要した時間はわずか143分だというではないか。