ベネズエラ急襲を可能にした米軍の精鋭部隊
もちろん本作戦が米軍のみで行われたわけもなく、CIA(米中央情報局)やDEA(アメリカ麻薬取締局)、FBI(連邦捜査局)等々あらゆる諜報機関が協力したのは想像にかたくない。
世界にあまたの軍隊や自称も含めた特殊部隊があるが、こんなことができる、いや成功させられるのは今やアメリカしかないであろう。その善悪は別にしてだが。
米軍が他国の領土にまで進入して、こんな「ミッション・インポッシブル」を成功させたのはベネズエラが最初ではない。1989年12月、米軍は突如パナマに侵攻。翌年1月には独裁者であったノリエガ元将軍を逮捕し政権を転覆させたうえ、米本土まで移送し、麻薬密輸組織との関連を問う裁判にかけた。
さらに2011年5月には民主党・オバマ政権下でありながら、アフガンの米軍基地を出発した米海軍特殊部隊SEALsがパキスタンに侵入、アボッターバードという、よりによってパキスタンの陸軍士官学校がある町に潜伏していた米同時多発テロの首謀者、ウサマ・ビン・ラディンの暗殺に成功したばかりか、その遺体をアフガンからペルシャ湾洋上の米空母まで移送し、アラビア海で水葬してしまったのである。
もちろん、そんな米軍とはいえ、こんな作戦がいつも成功しているわけではない。
1979年11月に発生したイランアメリカ大使館人質事件では、人質となっていた大使館員とその家族を救出するため、ベネズエラ作戦で大統領官邸を急襲したのと同じ「デルタ・フォース」を翌年4月に初めて実戦に投入。イーグル・クロー作戦と称する極秘任務に挑んだが、砂嵐とそれによる機材トラブルにより、8人の戦死者と8機の航空機の損害を出し、完全に失敗した。
また、1993年にはソマリアの内戦に介入し、アイディード将軍を拉致するため「デルタ・フォース」やレンジャー大隊を投入するも、大規模な戦闘に発展。結局、内戦を沈静化させることは叶わず、撤退している。いくら米軍といえど万能ではないのである。
とはいえ、ロシアや中国といえども、今回のベネズエラで見られたような作戦を完遂する能力は持ち合わせていないであろう。もちろん、戦後80年以上諜報機関を持たなかった我が国も同様である。

