「いまでも夢に見ます」人生で最も恐怖を感じ、後悔している瞬間とは?
あの空港ですよね。あそこで日本に帰っていればよかった。いまでも夢に見ます。空港にポツンと自分がいて、スーツケースを4個。トイレに行きたいけど行けない。あいつなんかおかしいなってみんなに見られている夢。
空港をうろうろしていた時間は、人生でも一番ひどいというか、恐怖だった。空港で待っているコーディネーターがいて、泊まるところや食べる物に困らなかったらそんなことはなかったと思う。
最初は通訳を頼むつもりだったんです。日本の旅行会社でファーストクラスの航空券を予約してもらった時に「料金かかりますけど、現地の通訳の方をおつけできます」って言われたから、それで俺頼んだんですよ。
でもアニータが、「通訳なんて、そんな無駄遣いいらない。大丈夫、大丈夫、わたし通訳できるから。ホテルもいらない。うちに泊まればいい」って言った。結局、それで、旅行会社に断りを入れたんですよ。
人生を振り返って、あの時なぜこういう風にしなかったのか、なぜなぜって後悔が非常に強く残っているんだけど、一番の後悔は、空港でのことだよね。忘れていたかわからないけど、アニータは空港に来なかった。その時点で、自分のことをどう思っているのかわかるはずだよね。
刑務所で何度も後悔に襲われた
三十何時間かけて、日本からチリに来るというのも、当然わかっている。それなのに来ない。その時点でなぜ固執したのか、あきらめなかったのか。
空港を出て「日本大使館お願いします」ってタクシーの運転手に言っていれば、ホテルを紹介してもらって、飛行機で日本に帰っていた。なんでそれをしなかったのかなって。
彼女に一目会いたいっていうのもあった。でも「俺はそれくらいの対象なんだ」と思って、日本に帰っていれば、横領の額はそこまでひどくならなかったんじゃないかって。
俺の人生は色々な偶然が重なった偶然の産物だと思う。
あの日の夜、エンゼルという店に行ったのも偶然、そこでアニータに会ったのも偶然。偶然というのはすごいよな。でも、たとえ人生が偶然の連鎖だったとしても、どこかで引き返すことはできたのかもしれない。
何回も刑務所で考えたよね。「なんで、あの時帰らなかったんだろう」「なんであの時、こうしなかったんだろう」ってね。
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