一軒宿で四季折々の美しい自然を堪能する夏瀬温泉、湯煙あげる小安峡大噴湯など散歩も楽しい小安峡温泉。花火に温泉、夏の秋田を味わいつくす。
夏瀬温泉・小安峡温泉 花火と温泉を満喫する旅
温泉と花火の旅を目指して、秋田新幹線こまちに乗車。一路、角館(かくのだて)に向かう。
手始めに、秋田名物の稲庭うどんをいただく。強い日差しのこの時期は、つるんと入る稲庭うどんが嬉しい。
角館の街を歩いてから、車で30分ほどの宿に向かう。途中から舗装されていない砂利道になるが、このダートこそが旅情をかきたてる。辿り着くと、抱返(だきがえ)り渓谷沿いにひっそりと夏瀬温泉「都わすれ」があった。周りには民家もなければ他の宿もない。客室も10室のみ。聞こえてくるのは蝉の鳴き声だけ。
実は、乳頭温泉郷の中でも根強い女性ファンを持つ「妙乃湯」の女将(おかみ)が、理想の宿としてここを作った。女将の作品とも言える「都わすれ」は、春は一面の山桜、秋は燃えるような紅葉、冬は渓谷にツララが垂れる雪景色と、まるで絵画の一部に入りこんだような贅沢さがある。だが私は夏が好き。緑豊かで、避暑地としての魅力も十分だ。
そして何といっても温泉。江戸時代には角館の殿さまも愛したナトリウム・カルシウム・硫酸塩泉は皮膚病に良いとされ、特にカルシウム成分は日焼けなどで火照った肌の鎮静効果もある。文字通り、都を忘れて優雅な時を過ごす。