特殊詐欺が海外拠点に移ったワケ

――そういう経緯なんですね。台湾発祥の詐欺が、なぜ海外拠点に移ったんでしょう?

コーラ 台湾は狭いし、警察が多い。なので検挙率が高い。サイバー警察も、発信源の特定なんかをちゃんとやるわけだよ。

――とすると、「ちゃんとやらない国」で詐欺をやったほうが稼げる。

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コーラ うん。で、最初の拠点は中国大陸だったんだ。そこで現地の従業員を使うわけだけど、中国人は模倣が上手いだろ? だから、ボスが稼ぐのを見た下っ端が速攻でそれを真似て、自分もやってやれと独立する。特殊詐欺が中国に伝わったのはこういう事情だ。

 ただ、やがて中国の公安も取り締まりをはじめる。中国で詐欺罪の刑罰はめちゃくちゃ重い……。結果、(台湾人+中国人の特殊詐欺師は)東南アジアに移っていったわけだ。

ミャンマー東部、ミャワディにある中国系園区(建設中)。日本人の高校生が騙されて働かされていたKK園区の近く。2025年2月28日、筆者撮影。

――カンボジアは国の腐敗が深刻で、フン・セン上院議長を含む国家権力層と、園区の経営者たちが結びついて国ぐるみで特殊詐欺をやっていました。いっぽう、ミャンマーは軍閥が乱立している。軍閥に取り入るのは、国家に取り入るよりも簡単でしょう。

コーラ 軍閥の世界は単純だな。「俺のほうが人が多い、鉄砲が多い、だから俺の言うことがルールだ」という世界だから。あと、いまミャンマーで詐欺拠点の園区になってる場所は、中国が一帯一路(※)で建設した工業団地が多いんだ。しかし、コロナとかいろいろあって政策が変わって、中国が撤退。空き家を軍閥が占領した。

 でも、軍人は戦争はできても経営はできねえだろ? だから、(中国系のアウトローにハコを貸して)詐欺園区にしたんだ。軍閥の連中は、どこの国の人間が詐欺をやりに来ても、上前をはねられるのでウェルカムだ。園区の管理は軍閥がやる。そこに入居する詐欺会社からアガリを徴収するって構図だな。

※注:一帯一路…習近平政権が2014年に提唱した国際戦略。ミャンマーではコロナや内戦の前に、中国なりの国際貢献政策のもとで工場団地が建設されていた。