東南アジアで暗躍する中華系(台湾を含む)の特殊詐欺拠点・園区。その背景を、台湾最大の黒幇(ヘイバン)(マフィア)の元構成員だった「コーラ兄貴」(可樂哥(クウラーガー)王元兆(ワンユエンヂャオ))に尋ねてきた。

 後編では、昨年10月にアメリカをはじめとする各国から園区関与を理由とする国際制裁を受けた、カンボジアの最大級の中国系財閥・太子集団(タイヅジィトゥアン)(プリンス・グループ)について尋ねていく。さらに、日本人の詐欺従事者たちを“救出”した際の驚愕エピソードも——。(全3回の3回目/最初から読む

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台湾の関連会社にも捜索が入ったが…

――太子集団は、園区を運営しながら中国共産党の特権層のマネロンに携わっていたとされます。本当なんでしょうか?

コーラ兄貴(以下、コーラ) 業界では公然の秘密、という感じだな。もっとも、実態は外からはわからん。みんな、よそのシノギを深く詮索したり邪魔したりしねえからな。ただ、太子集団は台湾にもたくさん拠点があったんだけど、台湾ではビジネスはビジネス、黒幇は黒幇と分かれる。黒幇とまったく無関係と言えばウソになるが、連中はひとまずビジネス寄りの存在って認識だ。

語るコーラ兄貴。2026年1月17日、筆者撮影。

――昨年の国際制裁の際、台湾で太子集団の関連会社多数が捜索され、約45億台湾ドル(約220億円)が没収されました。その際、多くの人が当局に逮捕されましたが、すぐに釈放されています。あれはかなり不自然だった気がするんですが……。

コーラ みんな唖然としてたな。俺もテレビを見ていて「釈放して証拠隠滅させるつもりかよ?」と思ったもの。表向きは保釈だが、裏には間違いなく、捜査当局とか司法関係とかとパイプがある。台湾も社会がキレイになったようでいて、なんだかんだで、そういうつながりはあるもんなんだ。

昨年12月、保釈に笑みを見せる太子集団台湾法人の代表者。現地では彼女の巨乳が大きな話題になった後「1週間でみんなこの件を忘れた」(台湾人談)。おいおい……。(現地メディア『ETtoday新聞雲』Facebookより)

――太子集団の関連会社は、台湾法人の傘下のものをふくめて日本国内でも数社が確認されています。また、同社の内部に近いスジに聞いた話では日本国内でもマネロン事業をかなり大規模にやっていたらしいですが、なかなか表沙汰にはなりませんね。

コーラ 仮想通貨や資金洗浄の関連では、台湾にもいろいろある。たとえば台中にある某マネロングループの自社オフィスビルは、監視カメラだらけでセキュリティがめちゃくちゃ厳しい。従業員は地下から直接自動車で内部に入る。警察の臨検が来ても、上階に上がってくるまでに証拠を隠滅できる。従業員は別のエレベーターで地下に降りて車で逃げられる。絶対に捕まらねえな、ありゃ。